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天平の甍

 「天平の甍」 井上靖 (新潮文庫)


 754年に鑑真を招請した、日本人留学生たちの姿を描いた傑作歴史小説です。
 井上靖の代表作で、映画にもなっています。新潮文庫から出ています。


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天平の甍 (新潮文庫)

天平の甍 (新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1964/03/20
  • メディア: 文庫



 732年の第9遣唐使の中に、留学僧の普照と栄叡(ようえい)がいました。
 2人は、戒律を行う僧を日本に招請するという使命を、担っていました。

 無事に中国に着き、洛陽に入り、留学生としての生活が始まりました。
 一方で、戒律師としてふさわしい人物を探しますが・・・

 鑑真ファン、唐招提寺ファン、仏教ファンにはたまらない小説です。
 私は特に、鑑真が登場する場面から、一気にテンションが上がりました。

 「法のためである。たとえ渺漫(びょうまん)たる蒼海(そうかい)が
 隔てようと生命を惜しむべきではあるまい。」(P73)

 鑑真、サイコーです。この小説の最大の魅力は、鑑真に会えることです。
 5度の試みに失敗し、失明しながらも、我が国にやってきた鑑真!

 ちなみに、鑑真和上像は、私のお気に入りの仏像のひとつです。
 2008年に県立美術館に来た時は、幼かった娘を連れて見に行きました。

 「不思議だ。ただ見ているだけで、心が満たされてくる。」
 キャッチフレーズどおりでした。いつまでも像から離れられなかった。

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 唐招提寺もまた、私の大好きなお寺のひとつです。
 大学時代に、青春十八きっぷを使って、何度訪れたことか。

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 ところが小説では、脇役の留学僧たちに、スポットが当たっています。
 鑑真招請に人生をかける栄叡と普照、経典の収集に人生をかける業行・・・

 「われわれはいま海の底へ沈めてしまうだけのために、いたずらに知識を
 搔き集めているのかも知れない。」(P52)

 作者はむしろ、留学僧たちのそういう虚しさを描きたかったのではないか。
 特に、業行の壮絶な運命は、強烈に心に残りました。

 さて、井上靖の中国歴史ものでは、「敦煌」もまた有名です。
 敦煌の莫高窟から発見された文献に関わる、歴史ロマンです。


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敦煌 (新潮文庫)

敦煌 (新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1965/06/30
  • メディア: 文庫



 さいごに。(今年もよろしくお願いします)

 新年、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 今日から家族で、4泊の旅行に行きます。初めての沖縄です。

 私的には、首里城とその周辺の散策が、最大の楽しみです。
 娘は、アメリカ村で、大きなパフェを食べる事が楽しみとのこと。

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