贋の侍女
「贋の侍女・愛の勝利」 マリヴォー作 佐藤・井村訳 (岩波文庫) 男装のヒロインが活躍する異装劇で、恋愛喜劇の傑作とされる作品です。 イタリア人劇団の女優シルヴィアの男装が、当時評判になったそうです。 岩波文庫から、2009年に出ました。訳は1989年のものです。 比較的新しい訳なので、分かりやすかったです。 贋の侍女・愛の勝利 (岩波文庫)作者: マリヴォー出版社/メーカー:...
View Article愛と偶然の戯れ
「愛と偶然の戯れ」 マリヴォー作 進藤誠一訳 (岩波文庫) 侍女になりすましたお嬢様と、召使になりすました青年との、恋の喜劇です。 マリヴォーの代表作であり、入れ替わりものの傑作です。 この名作が、現在は、古本でしか手に入りません。 私が読んだ岩波文庫版は1973年版。しかも訳は1935年のもので、旧字体です。 愛と偶然との戯れ (岩波文庫 赤 517-1)作者:...
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「好色一代男」 井原西鶴作 吉行淳之介訳 (中公文庫) 好色で知られた世之介が、誕生してから60歳で消息を絶つまでの一代記です。 「こうしょくいちだいおとこ」は、西鶴の処女作で、江戸文学の最高傑作です。 中公文庫版は、吉行淳之介の名訳です。原文は付いていません。 西鶴の描いた挿絵入りです。訳者覚え書も付いていて、参考になります。 好色一代男 (中公文庫)作者: 出版社/メーカー:...
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「好色五人女」 井原西鶴作 吉行淳之介訳 (河出文庫) 当時の話題の事件をもとに描かれた、恋に命をかける五人の女の物語です。 「好色一代男」の2年後に書かれ、西鶴の代表作の一つとなった作品です。 角川ソフィア文庫版は、原文と訳が付いていいます。 河出文庫版は、吉行淳之介の訳で、とても分かりやすかったです。 新版 好色五人女 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)作者: 文庫出版社/メーカー:...
View Article九鬼周造「いきの構造」
「九鬼周造『いきの構造』」 大久保喬樹 (角川ソフィア文庫) 日本人の美学である「いき」を、様々な角度から分析し解明した作品です。 西田幾多郎「善の研究」や和辻哲郎「風土」と並ぶ、日本哲学の名著です。 講談社学術文庫版は、詳細な註と解説が付いています。 岩波文庫版は、そのほか二篇が収録されています。 「いき」の構造 (講談社学術文庫)作者: 九鬼 周造出版社/メーカー: 講談社発売日:...
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「茶の本」 岡倉覚三著 村岡博訳 (岩波文庫) アメリカにおいて、日本の茶道の精神を論じた、日本文化論の名著です。 ニューヨークで出版された「ザ・ブック・オヴ・ティー」の翻訳です。 岩波文庫から出ていますが、訳は1929年のもの。 改版されていますが、少し読みにくかったです。 茶の本 (岩波文庫)作者: 岡倉 覚三出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1961/06/05メディア: 文庫...
View Article肉食の思想
「肉食の思想」 鯖田豊之 (中公新書・中公文庫) 食の違いから西洋の思想を解明する、ユニークな比較文化論の傑作です。 副題は、「ヨーロッパ精神の再発見」です。 中公新書から1966年に出て、現在なお読まれ続けている名著です。 私が読んだのは、2007年に出た中公文庫版。実は、妻の蔵書です。 肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公新書 (92))作者: 鯖田 豊之出版社/メーカー:...
View Article2015年3月発売の気になる文庫本
2015年3月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。 データは、出版社等のHPやメールマガジンを参考にしています。 ◎ 新潮文庫(3/1)の名作新訳コレクションから、次の1冊。 ・ 「ポー短編集III SF&ファンタジー編」 ポー → 名作「大渦巻への落下」など全7編。待望の短篇集第3弾。買い。 ◎ ちくま学芸文庫(3/10)から、次の1冊。 ・ 「日本の哲学をよむ...
View Articleセビーリャの理髪師
「セビーリャの理髪師」 ボーマルシェ作 鈴木康司訳 (岩波文庫) ある令嬢に恋した貴族が、理髪師フィガロと組んで相手と張り合う恋の戯曲です。 フィガロ三部作の第一作で、ロッシーニの歌劇によっても知られる名作です。 岩波文庫から、2008年にせっかく新訳が出たのに、現在は品切れ状態です。 訳が分かりやすくて、解説もしっかりしているので、復刊を強く願っています。 セビーリャの理髪師...
View Articleフィガロの結婚
「フィガロの結婚」 ボーマルシェ作 辰野隆訳 (岩波文庫) 召使のフィガロが、愛し合う女と結ばれるため、伯爵と張り合う恋の戯曲です。 「セビーリャの理髪師」の続編で、モーツァルトの歌劇でも有名な名作です。 岩波文庫から出ている訳は、1952年のもので、少し読みにくいです。 しかも、品切れ状態(ただし、現在アマゾンで1円)。新訳化を願っています。 フィガロの結婚 (岩波文庫...
View Articleポールとヴィルジニー
「ポールとヴィルジニー」 サン=ピエール作 鈴木雅生訳 (古典新訳文庫) 自然の恵みと母たちの愛に包まれて育った、少年と少女の悲しい恋の物語です。 フランス革命の直前に刊行され、純愛小説の代表作として知られる傑作です。 とても手に入りにくい作品でしたが、2014年に古典新訳文庫から出ました。 美しい挿し絵が20点以上収録されていて、丁寧に作られた本です。 ポールとヴィルジニー...
View Article日本永代蔵
「日本永代蔵」 井原西鶴 (角川ソフィア文庫) 日本各地に実在した金持ちの、成功と失敗を描いた全30編の短篇集です。 浮世草子の町人物の代表作で、江戸時代の経済小説として有名です。 角川ソフィア文庫から出ています。原文も解説も挿し絵も入っています。 しかし500ページ以上あって約1200円。私が読みたいのは訳だけなのに。 新版 日本永代蔵 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)作者: 井原...
View Article私のギリシャ神話
「私のギリシャ神話」 阿刀田高 (集英社文庫) ギリシャ神話中の有名なエピソードを、阿刀田流にまとめて紹介した本です。 NHK人間講座のテキストを、加筆訂正したものです。 集英社文庫から出ています。 世界の名画が挿し絵として収録されていて、少しぜいたくな本です。 私のギリシャ神話 (集英社文庫)作者: 阿刀田 高出版社/メーカー: 集英社発売日: 2002/12メディア: 文庫...
View Articleピグマリオン
「ピグマリオン」 バーナード・ショー作 小田島恒志訳 (古典新訳文庫) 訛りのひどい花売り娘と、彼女に音声の訓練をさせる言語学者との、恋の戯曲です。 ヘップバーンの名画「マイ・フェア・レディ」の原作としても有名です。 これまで手に入りにくかったのですが、2013年に古典新訳文庫から出ました。 訳は分かりやすくて、注や解説もしっかりしています。 ピグマリオン (光文社古典新訳文庫)作者:...
View Articleジョウゼフ・アンドルーズ
「ジョウゼフ・アンドルーズ(上)(下)」 フィールディング作 朱牟田(しゃむた)夏雄訳 (岩波文庫) 純粋で美しい青年ジョウゼフと、善良な牧師アダムズとの、ドタバタ道中記です。 イギリス小説の父とも言われるフィールディングの、代表作のひとつです。 2009年に岩波文庫から出たばかりなのですが、文章は分かりにくいです。 よくよく調べたら、訳は1966年のもの。新訳化を強く希望します。...
View Article愉しき放浪児
「改訳 愉しき放浪児」 アイヒェンドルフ作 関泰祐訳 (岩波文庫) バイオリン片手に運試しの旅に出たのらくら者の、恋と冒険の物語です。 ドイツロマン主義作家アイヒェンドルフの代表作です。 「改訳」とありますが、騙されてはいけません。1952年の訳です。 もとの訳はなんと1938年。しかも旧字体。読みにくかったです。 愉しき放浪児 (岩波文庫)作者: アイヒェンドルフ出版社/メーカー:...
View Article聖アントワヌの誘惑
「聖アントワヌの誘惑」 フローベール作 渡辺一夫訳 (岩波文庫) 3世紀の聖人アントワヌが、悪魔からの誘惑を退ける姿を描く戯曲的な作品です。 着想から30年近くかけて完成させた、フロベールの「生涯の作品」です。 2月に岩波文庫から復刊されました。入手困難な本なので、買うなら今です。 初版は1940年。1957年に改版が出ていますが読みにくい。新訳化を期待します。 聖アントワヌの誘惑...
View Article2015年4月発売の気になる文庫本
2015年4月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。 データは、出版社等のHPやメールマガジンを参考にしています。 ◎ 新潮文庫(4/1)の名作新訳コレクションから、次の1冊。 ・ 「風と共に去りぬ(1)(2)」 マーガレット・ミッチェル → 待望の新訳。岩波文庫からも出ている。読み比べたい。 ◎ 岩波文庫(4/16)から、次の1冊。 ・ 「風と共に去りぬ(1)」...
View Articleパミラ
「パミラ、あるいは淑徳の報い」 リチャードソン作 原田範行訳 (研究社) 主人に誘惑される、若くて美しい召使の心理を、書簡と日記で描いた小説です。 近代小説(ノヴェル)の起源とも言われる作品です。 2011年に研究社から、「英国十八世紀文学叢書」の第1巻として出ました。 ぶ厚い単行本で、800ページもあります。挿絵も豊富で、値段は5184円です。 [第1巻 メロドラマ]...
View Articleボルジア家の黄金の血
「ボルジア家の黄金の血」 サガン作 鷲見洋一訳 (新潮文庫) チェーザレの野望と禁断の愛を中心に、ボルジア家の盛衰を描いた作品です。 フランスのテレビ映画のために、サガンが書いた脚本がもとになっています。 1990年に新潮文庫から出ましたが、現在は品切れ。 私はこの本を、田舎の古本屋で見つけて購入しました。 ボルジア家の黄金の血 (新潮文庫)作者: 鷲見 洋一出版社/メーカー:...
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