「賢人ナータン」 レッシング作 篠田英雄訳 (岩波文庫)
ユダヤ教とキリスト教とイスラム教を融和させる、ユダヤ商人ナータンを描いた戯曲です。
18世紀ドイツの啓蒙思想家、レッシングの代表作です。
2012年2月に、岩波文庫から復刊されました。
初版は1958年と古いため、活字が小さめで、また、分かりにくい言葉が少しあります。
しかし、それほど不満はありません。
1192年のエルサレムに、ユダヤ商人ナータンが、長い旅から帰りました。
ところが、ナータンの留守中に、屋敷が火事で焼けてしまっていたのです。
その折、娘レーハはある騎士に助けられ、彼に恋心を燃やしていました。
しかし相手の騎士はキリスト教徒。宗教の違いが二人を隔てています。
ところが、この二人は、不思議な縁でつながっていたのでした…
最初は、正直に言って、私はあまり物語に入り込めませんでした。
しかし、ナータンがサラディンに謁見する辺りから、断然面白くなります。
サラディンの策略に対する、ナータンの受け答えは、感動的。まさに、賢人!
そして、この謁見のあと、次から次に、謎が明かされていきます。
さて、この戯曲は、宗教論争に対する一つの回答となっています。
ナータン=ユダヤ教、騎士=キリスト教、サラディン=イスラム教です。
「宗旨が違っても人情は一つなのです。」(P166)
ナータンのこの言葉には、普遍的な価値があります。
私的には、キリスト教を美化していないところが、とても好感が持てました。
登場人物中、もっとも醜い人物が、総大司教だったりして。
そして、もっとも優れた人物が、ユダヤ教徒のナータンですから。
さいごに。(暖房器具を出す)
11月に入って、急に寒くなったので、暖房器具を出しました。
うちは、北側にあるため、日があまり当たらないので、寒いです。
うちの女性陣はコタツ派で、コタツが大好きですが、私はイス派です。
コタツで本を読むと、腰が痛くなるので。
床に置いた湯たんぽに、足を乗せて、本を読むのが、ベストです。