「青い花」 ノヴァーリス作 青山隆夫訳 (岩波文庫)
夢に現れた青い花に憧れながら、旅を続ける青年詩人の物語です。
ノヴァーリスの代表作ですが、死のために未完に終わりました。
現在、岩波文庫と、ちくま文庫「ノヴァーリス作品集」で読むことができます。
私が読んだ岩波文庫版は、訳が比較的新しくて、読みやすかったです。
もともと観念的で難解な内容なので、よく分からない箇所もありました。
この本に関しては、先にあらすじを読んでおくことをお勧めしたいです。
ある夜、ハインリヒの夢に青い花が現れ、やがて乙女の姿に変わりました。
夢に見たこの青い花と乙女の顔が、彼の頭から離れられなくなりました。
その後、祖父を訪れるために、母とともにアウクスブルクへ旅に出ます。
この旅は、彼の詩人としての感性を、少しずつ目覚めさせていきます。
そして、旅の終わりに、ハインリヒが会った少女は…
なんと、かつて夢で見た青い花の乙女に、そっくりだったのです。
この物語自体が、まるでひとつの夢のようです。
最後は、良いところでぷっつりと、夢のように終わってしまうし。
私にとって、印象深かった箇所は、第Ⅰ部の第五章。
老坑夫に連れられ、ハインリヒが、洞窟を探検した場面です。
その洞窟は、太古の獣たちの骨が散らばる、時空を超えた世界です。
この洞窟の奥で、ひとりの不思議な隠者に出会いました。
その隠者が持っていた異国の本に、ハインリヒは驚きました。
そこには、ハインリヒの、過去と現在と未来が、描かれていたのでした!
さて、作者ノヴァーリスは、ドイツロマン派の始祖と言われています。
しかし、29歳で夭逝したために作品は少なく、この代表作も未完です。
巻末の遺稿によると、壮大な展望があったことがうかがえます。
未完に終わってしまったことが、本当に惜しい。
さいごに。(両親のヨーロッパ旅行)
今年、父が77歳、母が70歳。
記念に2人で、ヨーロッパ旅行に出かけました。初めての海外です。
フランス、スイス、ドイツの3国を巡る充実プランです。
昨日、モンサンミシェル。今日はパリ。そして明日は、マッターホルン。
ドイツロマンチック街道も、もちろん入っています。すばらしい!