「トーニオ・クレーガー」 トーマス・マン作 平野卿子訳 (河出文庫)
作家となった文学青年トーニオの、半生を描いた青春小説です。
自伝的な要素が大きく、短編ながら重要な作品です。
さまざまな訳がありますが、私が選んだのは河出文庫の平野訳です。
自然で分かりやすい文章でした。挿絵が豊富で、見ていて楽しいです。
新潮版や岩波版も捨てがたいです。言葉使いは古いですが、美しい訳です。
新潮版は「ヴェニスに死す」とナイスなカップリング。表紙もナイスです。
少年トーニオは、美少年ハンスに憧れたり、金髪のインゲに恋したりします。
しかし、どちらにも自分の気持ちをうまく告げられず、孤独を味わいました。
成人して作家となったトーニオは、13年ぶりに故郷に戻ります。
そして、旅先でトーニオの見たのは・・・
人気のある小説です。主人公トーニオは、作家トーマスと重なります。
それゆえ、短編ながら作者を知る上で重要な作品です。
併録の「マーリオと魔術師」は、ナチス批判と考えられている短編です。
人心を操る魔術師チポッラが、ヒトラーのイメージと重なります。
休暇で訪れたトッレの街、家族4人で入った魔術師チポッラの公演。
繰り広げられる数々の奇術。そして、観客が最後に見たのは・・・
読んでいて、ぐいぐい引き込まれます。
正直に言って、「トーニオ」よりはるかに面白かったです。
さて、次はいよいよ「ブッデンブローク家の人々」に挑戦です。
マンの傑作長編で、ノーベル文学賞受賞の理由となった作品です。
さいごに。(うんこしりとり)
「うんこしりとり」は、娘が書店で見て大喜びした絵本です。
ユーチューブには、うんこしりとりの歌がありました。