「ベートーヴェンの生涯」 青木やよひ著 (平凡社新書)
あらゆる資料を駆使し、ベートーヴェンの真の姿を描き出して、評価の高い伝記です。
著者は、ベートーヴェンの不滅の恋人はアントーニアだと、世界で最初に指摘しました。
現在、平凡社新書から出ています。文庫本ではありません。
丁寧に作られた本です。920円ですが、高くありません。
ロマン・ロランの同名の伝記を読んで、物足りなかったのでこの本を手にしました。
(ロランの「ベートーヴェンの生涯」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-01-28)
ロランの伝記は、「陰気で悲劇的な英雄」というベートーヴェン像を広めました。
そういう従来のイメージを、青木氏は生涯にわたる研究で一掃してきました。
そして、この本。私は満足しました! 小さいながら、必要十分な本です。
著者のこれまでの研究成果が、全て気前よく盛り込まれているようです。
交友関係、女性関係、親族、支援者たち、さまざまな人間関係が分かります。
時代の状況、社会の雰囲気も分かり、生身のベートーヴェンを感じることができます。
また、ベートーヴェンと、彼の作品に対する敬愛の念が、隅々から伝わってきます。
たとえば、晩年の「弦楽四重奏」については、こんなふうに書いてあります。
「かくれた神々の手が奏でるような高度で自在な音楽技法を駆使しながら、自らは
一個の矛盾のかたまりのまま、星々の輝く天空の下で宇宙という大洋に身をゆだねて、
時にはそれと戯れているかのようだ。」(P244)
こんなふうに紹介されたら、聴くしかないでしょう。(図書館で借りなければ)
特にその「第15番」は、著者が人生の指針を与えられた曲だそうです。
ところで、あとがきには、著者が大腸がんの転移で苦しんでいると書かれています。
あとがきの日付は、2009年11月。その同じ月に、著者は亡くなっています。
この本が、著者の渾身の作であることは、まちがいありません。
ぜひ、多くの人に読んでほしい本です。できればロランの本の前に。
さいごに。(今度はB型)
恐れていたことが起こりました。
娘が高熱を出して、医者に行ったら、インフルエンザB型の反応が出ました。
先々週はA型で1週間休み、先週登校したら感染し、今週はB型で1週間休みです。
こんなふうにならないために、予防接種をしたのですが・・・