「白鯨」 メルヴィル作 八木敏雄訳 (岩波文庫)
巨大な白鯨を追うエイハブ船長と、彼が指揮するピークオッド号の悲劇的な物語です。
アメリカ文学の古典中の古典で、様々な解釈が可能な象徴的な小説です。
岩波文庫と新潮文庫から出ています。オススメは岩波文庫。2004年の新訳です。
カバーがカッコイイ。挿し絵も豊富で、とても丁寧に作られた素晴らしい本です。
時は19世紀。舞台は大海原。
主人公は、ピークオッド号の船長エイハブ。そして、巨大な鯨モービィ・ディック。
港町の安宿で、語り手のイシュメールは銛打ちのクイークェグと友情を結びました。
二人が一緒に乗り込んだのが、捕鯨船ピークオッド号。
船長はかの有名なエイハブ。
以前、巨大な白いマッコウクジラに片脚を食いちぎられ、復讐心に燃えています。
一等航海士はスターバック。スターバックス・コーヒーで一躍有名になった男です。
しだいに狂気じみてくるエイハブ船長を、抑えられるのはこの男だけです。
出港したピークオッド号は、鯨を求めて航海を始めました。
しだいにエイハブ船長の復讐心が、乗組員たち全員に感染して・・・
さて現在、上巻を読み終わったばかりで、まだまだ航海は始まったばかりです。
エイハブ船長も姿を現したばかり。P315になってようやく、エイハブは現れました。
この小説については、「脱線が多すぎる」「退屈だ」と事前に聞いていました。
でも、今のところとても面白いです。
「脱線の多さ」では、トーマス・マンの「魔の山」には及びません。
「退屈さ」では、シュティフターの「晩夏」に及びません。
確かに冒頭で、鯨に関する様々な抜粋が30ページも続き、困惑させられます。
冒頭で、この小説が嫌になる人も多いとか。それなら、読み飛ばせばいい。
私は、「魔の山」や「晩夏」のおかげで、読み飛ばしても気にならなくなりました。
もちろん、そんなこと、まったくいばれることではありませんが。
この岩波文庫版について言えば、豊富な挿し絵が作品の面白さを2倍にしています。
とても丁寧に作られた本で、製作者の情熱とプライドを感じさせます。
物語は、まだまだこれからです。今後の展開にワクワクしています。
エイハブはどうなるか? 白鯨は? イシュメールの運命は?
ところで、作者メルヴィルは、若いころ捕鯨船に乗っていたことがありました。
「鯨学」という章がありますが、鯨について語るのもこの小説の目的のようです。
(読み飛ばしてしまうのだが)
さいごに。(どんでんがえしで転勤なし)
直前まで「転勤の動きがある」と言われていましたが、急に転勤がなくなりました。
代わりに先輩が転勤です。彼は直前まで「転勤はない」と言われていたのですが。
このことが、いろいろと憶測を呼んでいます。
というのも、先輩は直前の会議で、上の責任を問うような発言をしていたため。
まあ、ともかく、「人事」というのは我々の手に負えないものです。