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幽霊船

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 「幽霊船 他一篇」 メルヴィル作 坂下昇訳 (岩波文庫)


 「幽霊船」と「バートルビー」の傑作中編二篇を収録した作品集です。
 「幽霊船」は、難破して漂流するスペイン船にまつわる物語です。

 岩波文庫から出ていましたが品切れ。楽天オークションで手に入れました。
 初版は1979年。訳は古いため、少し 読みにくかったです。


幽霊船 他1篇 (岩波文庫 赤 308-5)

幽霊船 他1篇 (岩波文庫 赤 308-5)

  • 作者: ハーマン・メルヴィル
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/12/17
  • メディア: 文庫



 1799年のこと。アメリカの商船のデラーノ船長は、ある難破船に遭遇しました。
 それはスペインの奴隷船で、船長のドン・ペニートは、ひどく陰鬱な男でした。

 スペイン船の中は、異様な雰囲気に包まれていました。
 デラーノは、スペイン人船長から、漂流のいきさつを聴きますが・・・ 

 どうしてこれだけ長い間、漂流していたのか?
 どうして壊血病や熱病で、黒人らはそれほど死ななかったのか?

 刃物を研ぐようなあの音は何か? この異様な雰囲気は何か?
 スペイン人船長に始終付き添っている、バボーなる黒人はいったい何者か?

 スペイン人船長のとった衝動的な行動。黒人たちによる意外な行動・・・
 最後まで、予想外の展開が続きます。

 私はこの作品を、タイトルに惑わされて、ホラー小説として読んでいました。
 だから、いつ幽霊が出現するのかと、そればかりに気を取られていました。

 しかし、それは間違っていました。ホラー小説よりも、推理小説に近いです。
 解説には、「メルヴィルが書いた唯一の推理小説だと評していい」とあります。

 そう思って読み返してみると、なかなか良くできた推理小説です。
 ただし、訳のせいなのか、とても読みにくい。新訳化を強く望みます。

 ところで、この本には「バートルビー」という作品も収録されています。
 これがまた、実に興味深いのです。「バートルビー」については次回に。

 さいごに。(ラムネ)

 町内の夏祭りで、娘は初めてラムネを飲んで、とても気に入ったみたいです。
 サンタクロースには、ラムネ10本をお願いする、と今から言っています。


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