「ベーオウルフ」 忍足(おしたり)欣四郎訳 (岩波文庫)
スカンジナビアを舞台に、英雄ベーオウルフの活躍を描いた叙事詩です。
8世紀から9世紀に書かれた、中世イギリス英雄叙事詩です。
現在、岩波文庫から出ています。1990年に出た比較的新しい訳です。
読みやすくする工夫が、随所に盛り込まれています。
デンマーク王フロースガールの宮殿に、怪物が襲来して人々を殺戮しました。
その怪物は、カインの末裔グレンデル。そのまま館を占拠してしまいました。
怪物を倒すために海を越えてきたのが、イェーアト族の勇士ベーオウルフです。
その晩さっそくグレンデルが襲来し、従者を一人食い殺しますが・・・
という具合で、内容的にはファンタジーに近いです。
ベーオウルフは理想的に描かれ、美化されています。
相手は化け物だから、武器など持ちません。素手で人を引きちぎります。
でもベーオウルフは言います。相手が素手なら、自分も素手で戦うと。
むちゃですよ、そんなの。でも、やっちゃうんですよね。
そして、もちろん、勝ってしまう。そういうところが、ファンタジー。
さて、訳は口語ですが、古語が多用されているため、最初は読みにくい。
この訳を、更に分かりやすく口語訳してくれ、と思ってしまいます。
「劫罰を負うた生き物、獰猛にして貪婪(どんらん)なる荒ぶる者は、凶暴残忍
の形相凄じく、やにわに臥所(ふしど)より三十人の従士を摑み取った」(P26)
これは、グレンデルの悪行の場面です。全体がこんな感じです。
しかし慣れてくると、このリズムがとても心地良い。名訳かもしれません。
この本について言うと、とても親切で丁寧な本づくりがされています。
前書きで物語の概略が述べられているし、各節冒頭にもあらすじがあります。
ところで、この作品の舞台はスカンジナビア。だから北欧神話と言ってもいい。
でも、イギリスで書かれ、イギリス文学として残っています。
おそらく、ゲルマン民族の移動の時に、イギリスに入ってきたのでしょう。
ゲルマン系のヴァイキングたちが、持ち込んだのでしょうか。
さいごに。(今日からキャンプ)
今日から、キャンプに行きます。天気が少し心配です。
今年はトレーラーハウスに2泊します。月曜日は有休を取りました。