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ジゴロとジゴレット

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 「ジゴロとジゴレット」 モーム作 金原瑞人訳 (新潮文庫)


 モームの真骨頂である短編小説のうち、ヨーロッパを舞台にした8編です。
 いずれも機知とユーモアに彩られていて、どこか悲哀を感じる作品です。

 2015年9月に新潮文庫から出たばかりの新訳で、とても読みやすいです。
 「月と六ペンス」も新訳が出たばかり。「雨・赤毛」の新訳も期待したい。


ジゴロとジゴレット: モーム傑作選 (新潮文庫)

ジゴロとジゴレット: モーム傑作選 (新潮文庫)

  • 作者: サマセット モーム
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/08/28
  • メディア: 文庫



 この本に入っている8作は、どの作品もピリッとした味付けがモームらしい。
 その中でも特に次の3作が、私的にはオススメでした。

 まず、「征服されざる者」は、最も衝撃的な作品です。
 第2次大戦中、ドイツ兵のハンスは、フランス娘アネットに乱暴を働きました。

 アネットの妊娠を知り、ハンスは彼女への愛情をつのらせていき・・・
 しかし、アネットの態度は変わらず、彼女が最後にとった行動は・・・

 次に、「マウントドラーゴ卿」は、最も奇怪で、印象に残った作品です。
 精神科のオードリン医師、外務大臣マウントドラーゴ卿が受診しました。

 マウントドラーゴ卿が、毎晩見る夢の中に出てくる男は・・・
 唯一の治療法を拒否したマウントドラーゴ卿は、とうとう・・・

 そして、「ジェイン」は、最も面白くて、イチオシの作品です。
 初老の女ジェインが、突然20歳以上も年下の男と結婚しました。

 義理の姉は、財産目当ての結婚かと疑っていましたが・・・
 デザイナーの夫によって、魅力を引き出されたジェインは・・・

 ほかにも、危険な芸当でお金を稼ぐ夫婦を描いた「ジゴロとジゴレット」
 や、結核患者の人間模様を描いた「サナトリウム」などが良かったです。

 ところで、この本や、「月と六ペンス」新版のカバーはカッコイイです。


月と六ペンス (新潮文庫)

月と六ペンス (新潮文庫)

  • 作者: サマセット モーム
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/03/28
  • メディア: 文庫



 しかし私は、旧版のカバーの方が、もっと上品でカッコよかったと思います。
 昔、初めてこのカバーを見た時は感動して、「全部読みたい」と思いました。

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 モームの「女ごころ」の新訳が、昨年2014年にちくま文庫から出ました。
 そのうち絶版になってしまうと思うので(?)、その前に読んでおきたいです。


女ごころ (ちくま文庫)

女ごころ (ちくま文庫)

  • 作者: W・サマセット モーム
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2014/08/06
  • メディア: 文庫



 さいごに。(町内運動会)

 昨日は町内対抗の運動会でした。今年もリレーのアンカーをやりました。
 昨年のようにはいかず、4位でもらって、4位のままゴール。びりでした。

 小学3年生のうちの娘は、4種目も出場して、どれも楽しんでいました。
 子供数が少ないうちの町内は、子供総動員という感じです。

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