「ジゴロとジゴレット」 モーム作 金原瑞人訳 (新潮文庫)
モームの真骨頂である短編小説のうち、ヨーロッパを舞台にした8編です。
いずれも機知とユーモアに彩られていて、どこか悲哀を感じる作品です。
2015年9月に新潮文庫から出たばかりの新訳で、とても読みやすいです。
「月と六ペンス」も新訳が出たばかり。「雨・赤毛」の新訳も期待したい。
この本に入っている8作は、どの作品もピリッとした味付けがモームらしい。
その中でも特に次の3作が、私的にはオススメでした。
まず、「征服されざる者」は、最も衝撃的な作品です。
第2次大戦中、ドイツ兵のハンスは、フランス娘アネットに乱暴を働きました。
アネットの妊娠を知り、ハンスは彼女への愛情をつのらせていき・・・
しかし、アネットの態度は変わらず、彼女が最後にとった行動は・・・
次に、「マウントドラーゴ卿」は、最も奇怪で、印象に残った作品です。
精神科のオードリン医師、外務大臣マウントドラーゴ卿が受診しました。
マウントドラーゴ卿が、毎晩見る夢の中に出てくる男は・・・
唯一の治療法を拒否したマウントドラーゴ卿は、とうとう・・・
そして、「ジェイン」は、最も面白くて、イチオシの作品です。
初老の女ジェインが、突然20歳以上も年下の男と結婚しました。
義理の姉は、財産目当ての結婚かと疑っていましたが・・・
デザイナーの夫によって、魅力を引き出されたジェインは・・・
ほかにも、危険な芸当でお金を稼ぐ夫婦を描いた「ジゴロとジゴレット」
や、結核患者の人間模様を描いた「サナトリウム」などが良かったです。
ところで、この本や、「月と六ペンス」新版のカバーはカッコイイです。
しかし私は、旧版のカバーの方が、もっと上品でカッコよかったと思います。
昔、初めてこのカバーを見た時は感動して、「全部読みたい」と思いました。
モームの「女ごころ」の新訳が、昨年2014年にちくま文庫から出ました。
そのうち絶版になってしまうと思うので(?)、その前に読んでおきたいです。
さいごに。(町内運動会)
昨日は町内対抗の運動会でした。今年もリレーのアンカーをやりました。
昨年のようにはいかず、4位でもらって、4位のままゴール。びりでした。
小学3年生のうちの娘は、4種目も出場して、どれも楽しんでいました。
子供数が少ないうちの町内は、子供総動員という感じです。