「ガラスの街」 ポール・オースター作 柴田元幸訳 (新潮文庫)
ある男の尾行をすることになった男が、自分自身を見失っていく物語です。
オースターの小説の第一作で、「ニューヨーク三部作」の一つです。
新潮文庫から出ています。カバーイラストが、オシャレでカッコいいです。
訳は新しくて分かりやすく、原文の透明感が伝わってきます。名訳です。
ある日の夜中、ミステリ作家クインの部屋に、間違い電話がありました。
「ポール・オースターですか?」・・・「番号違いでしょう」
その電話がきっかけで、クインは自ら事件に巻き込まれていきます。
スティルマン老教授という、奇妙な人物を監視することになりました。
「ニューヨークは尽きることのない空間、無限の歩みから成る一個の迷路だ
った。どれだけ遠くまで歩いても、どれだけ街並や通りを詳しく知るように
なっても、彼はつねに迷子になったような思いに囚われた。」(P6)
そして、クインは実際に、「自分のなかでも迷子」になっていき・・・
やがて、自分自身の存在さえ疑うようになり・・・
探偵小説ならば、読んでいるうちに真相がしだいに明らかになるものです。
しかしこの小説は、かえってこんがらがっていきます。
読者は、主人公と一緒にふわふわとして、どこかに迷い込みそうな感じです。
読み終わったときには、最初よりもっとずっと混乱した状態になりました。
「ニューヨーク三部作」の次作「幽霊たち」も、オースターらしい作品です。
こちらは、向かい宅の男を監視する、私立探偵の奇妙な体験の物語です。
新潮文庫から柴田訳で出ています。リズムがあって読みやすい訳文です。
「ガラスの街」よりも前の、1995年に出ています。
1947年2月3日、私立探偵ブルーのところに、ある依頼がありました。
それは、ブラックという男を見張り、週に1度報告書を送れというものです。
ブルーは依頼人が提供したアパートに籠り、ブラックの監視を始めました。
ところが相手は、いつまでたっても動き出そうとしないのです。
ブラックとは何者か? この監視にどんな意味があるのか?
何も起こらず何も分からないままに、時間だけがたっていき・・・
「事件の起こらない探偵小説であり、犯人のいない推理小説である。」
「ガラスの街」同様、何も起こらないゆえに、とても不気味で刺激的でした。
「幽霊」まで読んだら、第三作「鍵のかかった部屋」も読みたくなります。
こちらも、柴田訳が出ています。ただし、白水Uブックス(新書版)です。
オースターの代表作は、青春小説の「ムーン・パレス」(新潮文庫)でしょうか。
放浪小説(?)の「偶然の音楽」も評判がいいです。どちらも読んでみたいです。
さいごに。(ミカドコーヒー)
鎌倉旅行で一番おいしかったのは、散歩中にミカド珈琲で食べた一品。
「小倉deエスプ」です。エスプレッソをかけて食べます。鎌倉店限定。
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ある男の尾行をすることになった男が、自分自身を見失っていく物語です。
オースターの小説の第一作で、「ニューヨーク三部作」の一つです。
新潮文庫から出ています。カバーイラストが、オシャレでカッコいいです。
訳は新しくて分かりやすく、原文の透明感が伝わってきます。名訳です。
ある日の夜中、ミステリ作家クインの部屋に、間違い電話がありました。
「ポール・オースターですか?」・・・「番号違いでしょう」
その電話がきっかけで、クインは自ら事件に巻き込まれていきます。
スティルマン老教授という、奇妙な人物を監視することになりました。
「ニューヨークは尽きることのない空間、無限の歩みから成る一個の迷路だ
った。どれだけ遠くまで歩いても、どれだけ街並や通りを詳しく知るように
なっても、彼はつねに迷子になったような思いに囚われた。」(P6)
そして、クインは実際に、「自分のなかでも迷子」になっていき・・・
やがて、自分自身の存在さえ疑うようになり・・・
探偵小説ならば、読んでいるうちに真相がしだいに明らかになるものです。
しかしこの小説は、かえってこんがらがっていきます。
読者は、主人公と一緒にふわふわとして、どこかに迷い込みそうな感じです。
読み終わったときには、最初よりもっとずっと混乱した状態になりました。
「ニューヨーク三部作」の次作「幽霊たち」も、オースターらしい作品です。
こちらは、向かい宅の男を監視する、私立探偵の奇妙な体験の物語です。
新潮文庫から柴田訳で出ています。リズムがあって読みやすい訳文です。
「ガラスの街」よりも前の、1995年に出ています。
1947年2月3日、私立探偵ブルーのところに、ある依頼がありました。
それは、ブラックという男を見張り、週に1度報告書を送れというものです。
ブルーは依頼人が提供したアパートに籠り、ブラックの監視を始めました。
ところが相手は、いつまでたっても動き出そうとしないのです。
ブラックとは何者か? この監視にどんな意味があるのか?
何も起こらず何も分からないままに、時間だけがたっていき・・・
「事件の起こらない探偵小説であり、犯人のいない推理小説である。」
「ガラスの街」同様、何も起こらないゆえに、とても不気味で刺激的でした。
「幽霊」まで読んだら、第三作「鍵のかかった部屋」も読みたくなります。
こちらも、柴田訳が出ています。ただし、白水Uブックス(新書版)です。
オースターの代表作は、青春小説の「ムーン・パレス」(新潮文庫)でしょうか。
放浪小説(?)の「偶然の音楽」も評判がいいです。どちらも読んでみたいです。
さいごに。(ミカドコーヒー)
鎌倉旅行で一番おいしかったのは、散歩中にミカド珈琲で食べた一品。
「小倉deエスプ」です。エスプレッソをかけて食べます。鎌倉店限定。
