「ジヴェルニーの食卓」 原田マハ (集英社文庫)
マティス、ドガ、セザンヌ、モネ等が、身近に感じられる短編小説集です。
本屋大賞3位の「楽園のカンヴァス」と、同時期に書かれた美術小説です。
「楽園のカンヴァス」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-1-14
この本に収録されている4編は全て秀逸です。駄作が一つもありません。
印象派ファンにはたまらない内容です。収録順に紹介していきましょう。
冒頭の「うつくしい墓」は、元家政婦の老婦人が語る思い出です。
ある日マダムに頼まれて出向いた先は、画家マティスの住む部屋で・・・
特にマティスのもとを、ピカソが最後に訪問したときの場面は良いです。
この二人の巨匠の会話が、本当に聞こえてくるような気がしました。
「アンリ・マティスが、私の人生をのちのちまでやわらかく包み込む陽光
だったとすれば、パブロ・ピカソは、ほんの一瞬閃いた稲妻でした。」(P 44)
二つ目の「エトワール」は、老いた女流画家メアリーが語る思い出です。
メアリーが、伝説の画商デュランに相談されたことは・・・
ドガが制作した唯一の彫刻「十四歳の小さな踊り子」を巡る物語です。
ドガが、彼女と自分は同じだ(P123)と言う場面が印象に残りました。
もの悲しいのに、心が温まります。ドガという画家に興味が湧きました。
「エトワール」は、4編の収録作中のマイベストです。


三つ目の「タンギー爺さん」は、タンギー爺さんの娘が書いた手紙です。
彼女は、断続的にセザンヌに手紙を書き、様々な思いを伝えていました。
画商タンギー、セザンヌ、小説家のゾラ、ゴッホ、ゴーギャン・・・
タンギー一家から見た、印象派 の巨匠たちの素顔!
最後の「ジヴェルニーの食卓」は、モネの義娘ブランシュを中心とした話です。
睡蓮の絵を国に寄贈する契約を締結してから、モネの気力はいっきに衰え・・・
晩年のモネは睡蓮の絵を、いかにして完成させていったのか?
やはり表題作のこの作品が、最も完成度が高いように思いました。
全体を通してすばらしい本です。登場する画家の作品を鑑賞したくなります。
欲を言えば、アンリ・ルソーの物語を、もう一度描いてほしかったのですが。
さいごに。(鷹の爪)
最近うちの娘がはまっているのは、「秘密結社 鷹の爪」です。
ツタヤでDVDをレンタルしてきて、片っ端から見ています。
1話が短いので、私も時々一緒に見ますが、内容は実にくだらない。
しかし、娘が言うには、NHKでもやっていたらしい。(ほんと?)