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パンタグリュエル

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 「パンタグリュエル」 ラブレー作 宮下志朗訳 (ちくま文庫)


 巨人パンタグリュエルと奇人パニュルジュの活躍を描いた、荒唐無稽な物語です。
 1532年に、「第一之書ガルガンチュア」に先んじて書かれました。

 ちくま文庫から出ていて、分かりやすい訳でしたが、現在は絶版です。
 当時のベストセラー「ガルガンチュワ年代記」の訳も収録されていてお得です。


パンタグリュエル―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈2〉 (ちくま文庫)

パンタグリュエル―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈2〉 (ちくま文庫)

  • 作者: フランソワ ラブレー
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2006/02/01
  • メディア: 文庫



 パンタグリュエルの誕生、その幼年時代、パリ遊学、パニュルジュとの出会い、
 パニュルジュの物語、他国との戦争と勝利、パンタグリュエルの口の中の世界。

 というように、「ガルガンチュア物語」と同じパターンで書かれています。
 文章も相変わらず「た〇きん、た〇きん」と、お下劣言葉の見本市のようです。

 お下劣なのに、教会や修道士に対する批判の書として、有難がられてきました。
 もちろん宗教界からの風当たりはきつくて、禁書に指定されてしまいました。

 でも、ラブレーは本当に、社会批判の意識を持っていたのだろうか?
 内容がバカバカしすぎて、そんな高尚な志があったとは、とても思えません。

 ラブレーは、自分の楽しみのためだけに、バカ話を書いていたのではないか?
 彼はただ「た〇きん、た〇きん」と、書き散らしたかっただけなのではないか?

 たとえば、第15章でパニュルジュが語る婆さんネタは、ただただキモイ。
 読者を気持ち悪がらせて喜ぶ、ラブレーの悪趣味が垣間見えてしまいます。

 その一方で、第32章のように、とてつもない想像力に感心する部分もあります。
 作者アルコフリパスが、パンタグリュエルの口の中に入ると・・・

 巨人の口の中に、別世界があるという発想がすごいです。
 古典知識の引用部分ではなく、こういう部分にこそ文学的価値があると思います。

 さて、ちくま文庫版には、「ガルガンチュア大年代記」も収録されています。
 当時大流行した物語で、ラブレーが本書を書くきっかけになった作品です。

 ちなみに、「第三の書」が本書のあとに続きますが、読まなくていいようです。
 読んで面白いのは、「第一の書」と「第二の書」だけ、という通説があるらしい。


第三の書―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈3〉 (ちくま文庫)

第三の書―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈3〉 (ちくま文庫)

  • 作者: フランソワ ラブレー
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2007/09/10
  • メディア: 文庫



 さいごに。(健康体は2人だけ)

 陸上仲間の忘年会がありました。集まったのは6人。皆、現在も活動中です。
 しかし、ひざを故障しているのが2人(うち1人は私)、腰の故障が2人。

 さらに、心臓の病気で来られなかったのが1人。健康体はわずか2人です。
 ここ数年で、みな次々と50代に入り、次々とどこかを傷めているのです。

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