「中国文学入門」 吉川幸次郎 (講談社学術文庫)
表題作は、世界文学史の視点から、中国文学を平易に解説した入門書です。
1951年(昭和26年)に出て、現在まで読まれ続けている名著です。
西洋において発展した叙事詩は、中国においてはあまり発展しませんでした。
叙事詩に代わって、叙情詩が重視されたことが、中国文学の大きな特徴です。
紀元前5世紀に、孔子が中国最古の詩編「詩経」を教科書として使いました。
その後、詩に親しむのは紳士のたしなみと、考えられるようになりました。
隋の時代に始まった科挙では、詩賦が試験科目に入るようにさえなりました。
唐の時代に、国力が最盛期に入ると同時に、唐詩も最盛期を迎えました・・・
というように、中国文学の歴史を、ざっくりと分かりやすく解説しています。
また、世界文学との比較から、中国文学の特徴を浮き彫りにしています。
「西洋の考えかたは、その源となりますヘブライズムにしましても、ギリシャに
しましても、それぞれ人間に対立する世界として、神の世界なりイデアの世界と
いうふうなものを設定して、そこに人間の理想を求める。」
「しかし、中国人の考え方はそうではありません。少なくともその最も有力な思想
は、無神論の立場にあります。(中略)人間そのものの中に、人間の道理はある。」
なるほど。とても刺激的な指摘が、随所に散らばっています。
このような指摘ができるのは、よほど多くの著作を読んだからでしょう。
この本には表題作「中国文学入門」のほか、6本の短い論文が収録されています。
中でも「一つの中国文学史」と「中国文学の四時期」は、表題作を補っています。
ただし、大きな流れをとらえていますが、個々の作品に対する言及は少ないです。
それを補ってくれるのが、岩波新書「中国文学講話」です。
この本も古く、初版が1968年に出ましたが、現在も読まれ続けています。
講話の形式なので、著者が語りかけてくるようで、親しみやすい本です。
9章「奇をつたえる」では、「柳毅伝」や「鶯鶯伝」などマイナーな作品の
内容が、とても詳細に語られています。こういう部分は貴重だと思います。
できれば、「中国文学史概説」みたいな本が、文庫本で出るといいのだけど。
今年は中国と日本の古典を読み進めていく予定なので。
さいごに。(斎場御嶽)
沖縄最大のパワースポットが、斎場御嶽(せーふぁうたき)です。
このような霊場が、いたるところにあって、興味深かったです。
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表題作は、世界文学史の視点から、中国文学を平易に解説した入門書です。
1951年(昭和26年)に出て、現在まで読まれ続けている名著です。
西洋において発展した叙事詩は、中国においてはあまり発展しませんでした。
叙事詩に代わって、叙情詩が重視されたことが、中国文学の大きな特徴です。
紀元前5世紀に、孔子が中国最古の詩編「詩経」を教科書として使いました。
その後、詩に親しむのは紳士のたしなみと、考えられるようになりました。
隋の時代に始まった科挙では、詩賦が試験科目に入るようにさえなりました。
唐の時代に、国力が最盛期に入ると同時に、唐詩も最盛期を迎えました・・・
というように、中国文学の歴史を、ざっくりと分かりやすく解説しています。
また、世界文学との比較から、中国文学の特徴を浮き彫りにしています。
「西洋の考えかたは、その源となりますヘブライズムにしましても、ギリシャに
しましても、それぞれ人間に対立する世界として、神の世界なりイデアの世界と
いうふうなものを設定して、そこに人間の理想を求める。」
「しかし、中国人の考え方はそうではありません。少なくともその最も有力な思想
は、無神論の立場にあります。(中略)人間そのものの中に、人間の道理はある。」
なるほど。とても刺激的な指摘が、随所に散らばっています。
このような指摘ができるのは、よほど多くの著作を読んだからでしょう。
この本には表題作「中国文学入門」のほか、6本の短い論文が収録されています。
中でも「一つの中国文学史」と「中国文学の四時期」は、表題作を補っています。
ただし、大きな流れをとらえていますが、個々の作品に対する言及は少ないです。
それを補ってくれるのが、岩波新書「中国文学講話」です。
この本も古く、初版が1968年に出ましたが、現在も読まれ続けています。
講話の形式なので、著者が語りかけてくるようで、親しみやすい本です。
9章「奇をつたえる」では、「柳毅伝」や「鶯鶯伝」などマイナーな作品の
内容が、とても詳細に語られています。こういう部分は貴重だと思います。
できれば、「中国文学史概説」みたいな本が、文庫本で出るといいのだけど。
今年は中国と日本の古典を読み進めていく予定なので。
さいごに。(斎場御嶽)
沖縄最大のパワースポットが、斎場御嶽(せーふぁうたき)です。
このような霊場が、いたるところにあって、興味深かったです。
