「もう牛を食べても安心か」 福岡伸一 (文春新書)
2000年代前半の狂牛病問題を分析した上で、新しい生命観を提示しています。
福岡伸一の最初の新書であり、第1回科学ジャーナリスト賞を受賞しました。
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- 作者: 福岡 伸一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/12/01
- メディア: 新書
私はこの本を、宮城哲弥の「新書365冊」(朝日新書)で知りました。
「新書365冊」は新書本の宝庫ですが、最も印象に残ったのがこの本でした。
この本は狂牛病の本ではありません。生命観を捉え直す本です!
宮城の解説がすばらしいので、「新書365冊」から引用させてもらいます。
心身の造りや働きを分子レヴェルに還元してはじめて、「生命が『流れ』の
中にある」ことがみえてくる。「全く比喩ではなく」、生の営みは「流れ」
そのものなのである。/ 狂牛病はその「流れ」に乗して広がった。
「食べる」とは、分子以下の微視的レヴェルにおいては、私達の体を入れ換
える行為に他ならないのだ。「私たちの身体は数日間のうちに入れ換わって
おり、『実態』と呼べるものは何もない。そこにあるのは流れだけなのである。
というように、生命の本質を「流れ」(!)の中でとらえています。
そして、この生のメカニズムが「動的平衡」です。
特に面白いのが、第二章「私たちはなぜ食べ続けるのか」、第三章「消化する
とき何が起こっているのか」、第五章「動的平衡論から導かれること」です。
第五章では、「自分自身の身体の所有権」も「自己決定」も危うい、と言う。
生命が流れだとしたら身体はどこにあるのかと、恐ろしい方向に論は展開する。
まさに、瞠目の書です。ここで描かれた生命観は、全く予想外のすごさでした。
「生物と無生物のあいだ」で紹介した通り、この本は私にとって衝撃的でした。
「生物と無生物のあいだ」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-04-27
さて、福岡が提示する生命観は、西田幾多郎が描いたものと類似しているという。
大学時代に哲学を専攻し、西田哲学に少しだけ接した私としては、実に興味深い。
「福岡伸一、西田哲学を読む」は、単行本ですが、私は買って読んでいます。
対談形式なので話が分かりやすく、内容は非常にスリリングです。
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福岡伸一、西田哲学を読む――生命をめぐる思索の旅 動的平衡と絶対矛盾的自己同一
- 作者: 池田善昭
- 出版社/メーカー: 明石書店
- 発売日: 2017/07/07
- メディア: 単行本
さいごに。(徒競走なし?)
娘に走り方を教えたのですが、今年は徒競走が無いのだという。
残念です! 小学校最後の運動会で、徒競走の応援ができないとは!
しかし、その日(土曜日)、私の仕事が入ってしまいました。
残念です! 小学校最後の運動会で、応援に行けないとは!