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東京タワー オカンとボクと、時々オトン

 「東京タワー」 リリー・フランキー (新潮文庫)


 子供時代から母親が亡くなるまでの、自身の半生を描いた自伝的小説です。
 2006年の本屋大賞に選ばれ、映画にもなった、大ベストセラー小説です。


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東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン (新潮文庫)

東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン (新潮文庫)

  • 作者: リリー・フランキー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/06/29
  • メディア: 文庫



 ボクが4歳になる頃、オカンはボクを連れ家を出て、オトンと別居しました。
 それ以来、ボクのために精一杯働き、ひとりでボクを育て続けてくれました。

 「オカンの人生は十八のボクから見ても、小さく見えてしまう。それは、ボク
 に自分の人生を切り分けてくれたからなのだ。」(P193)

 「ボクに自分の人生を切り分けて」生きて来た存在。まさにそれがオカンです。
 自分のものは買わず、ボクが高校へ、大学へ行くために、せっせと働き続けます。

 ところがそのオカンは、ボクと血がつながっていない?
 どちらでも取れる書き方をしていますが、どうも本当の親子ではないようです。

 それなのに、ダメダメなボクのために、自分の人生をほとんど捧げてしまう!
 そして、ボクがようやく自立できた時、オカンはすでにガンに侵されていました。

 ガンのオカンを東京へ呼び寄せてからが、この作品の本領発揮です。
 ガンの摘出手術が成功し、二人で慎ましく、しかし楽しく暮らした日々は短く・・・

 すぐそこに見える東京タワーに、連れて行くと言いながら果たせなかった約束・・・
 さんざんお世話になったあげく、ほとんど恩返しもできないまま、オカンは・・・

 ボクとオカンの関係が中心ですが、時々登場するオトンも良い味を出しています。
 例えば次のようなオトンの言葉が、作品の味わいを深めています。

 「どんなことにも最低五年はかかるんや。いったん始めたら五年はやめたらいか
 んのや。なんもせんならそれでもええけど、五年はなんもせんようにしてみぃ。
 (中略)途中からやっぱりあん時、就職しとったらよかったねぇとか思うようや
 ったら、オマエはプータローの才能さえないっちゅうことやからな」(P220)

 この作品は、本屋大賞受賞作ということで読みました。
 確かに、評判どおりのすばらしい作品だと思いました。

 ただし、期待が大きすぎたからか、皆が言うほど感動しませんでした。
 最後まで「オカン」「オトン」という呼び方に慣れなかったせいかもしれません。

 さいごに。(アコーディオンのオーディション)

 娘は、小学生最後の音楽発表会で、アコーディオン担当を狙っています。
 オーディションで選ばれるために、この2週間ほど毎夜練習しています。

 オーディションまで1週間ほど。選ばれるのは、わずかに4人。
 以前に比べて、だいぶ上達したように思うのですが、結果はいかに?

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