太平洋の防波堤
「太平洋の防波堤」 デュラス作 田中倫郎訳 (河出文庫) 仏領インドシナで、海水に浸る土地を買わされた一家3人の苦難を描いた物語です。 初期の作品でとても評価が高く、のちにその一部が「愛人」へと受け継がれました。 かつて出ていた河出文庫版は、訳が分かりやすかったのですが、現在は絶版です。 河出書房の世界文学全集にも、「愛人」とともに収録されています。 太平洋の防波堤 (河出文庫)作者:...
View Articleたんぽぽ娘
「たんぽぽ娘」 R・F・ヤング作 伊藤典夫編 (河出文庫) タイムマシンものの傑作「たんぽぽ娘」など、全13編収録の短編集です。 日本では長い間絶版だったため、幻の名作として知られていました。 たんぽぽ娘 (河出文庫)作者: ロバート・F・ヤング出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2015/01/07メディア: 文庫...
View Article君の名は。
「小説 君の名は。」 新海誠 (角川文庫) 東京の男子「瀧」と田舎の女子「三葉」の、夢の中の入れ替わりをめぐる物語です。 説明は不要でしょう。2016年に大ヒットした同名のアニメ映画の小説版です。 小説 君の名は。 (角川文庫)作者: 新海 誠出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー発売日: 2016/06/18メディア: 文庫...
View Articleとりかえばや物語
「とりかえばや物語」 田辺聖子訳 (文春文庫) 男性性の強い女子と、女性性の強い男子の、苦悩とその克服を描いた長編小説です。 12世紀半ばに成立した物語で、内容の珍奇さから「変態的」と評されたりもします。 文春文庫から田辺聖子訳が出ています。若者向けの、軽快で読みやすい訳です。 便宜上、主な登場人物に「春風」「秋月」「夏雲」「冬日」という名を与えています。 とりかえばや物語 (文春文庫...
View Article2017年4月発売の気になる文庫本
◎ 2017年4月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。 データは、出版社やamazonの、HPやメールマガジンを参考にしています。 ・4/4 「デカメロン(中)」 ボッカッチョ (河出文庫) → 今年読む本。単行本で7128円だった。1080円×3冊は、迷わず買い。 ・4/11 「オリエント急行殺人事件」 クリスティー (光文社古典新訳文庫) →...
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「おもいでエマノン」 梶尾真治 (徳間文庫) 地球に生命が発生してから現在までのすべての記憶を持つ女「エマノン」の物語です。 作者の人気のエマノンシリーズです。「おもいでエマノン」ほか全8編の短編集です。 おもいでエマノン: 〈新装版〉 (徳間文庫)作者: 梶尾 真治出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2013/12/06メディア: 文庫...
View Articleパニック
「パニック・裸の王様」 開高健 (新潮文庫) ネズミの大発生による騒動を描いた「パニック」など、短編全4編を収めています。 サントリー宣伝部時代の1957年~1959年に書いた、作者の初期の傑作短編集です。 「知的な痴的な教養講座」で開高健の語り口にしびれたら、次はぜひ小説を読みたい。 新潮文庫のこの本は、芥川賞受賞の「裸の王様」など、傑作ぞろいでオススメです。 パニック・裸の王様...
View Articleおちくぼ物語
「おちくぼ物語」 田辺聖子 (文春文庫) 継母によっていじめられていた姫君が、貴公子に救われるシンデレラストーリーです。 10世紀末頃に、「源氏物語」に先立って成立した王朝時代の大衆小説です。 「おちくぼ物語」は読みやすいのですが、作者によって大きくアレンジされています。 角川文庫の「落窪物語(上・下)」などで、正確な訳を読むことができます。 おちくぼ物語 (文春文庫)作者: 田辺...
View Articleピエール・パトラン先生
「ピエール・パトラン先生」 渡辺一夫訳 (岩波文庫) 仕事のない代言人パトラン先生が、相手を口車で丸め込む姿を描いた喜劇です。 中世フランスの代表的笑劇で、15世紀中頃に修道士によって書かれたようです。 第一刷は1963年。しばらく絶版でしたが、今年2017年2月に復刊されました。 訳は少し古いですが、分かりやすかったです。買うなら今がチャンスです。 ピエール・パトラン先生...
View Article結婚十五の歓び
「結婚十五の歓び」 (岩波文庫) 「結婚十五の歓び」は、男から見た結婚における十五の「難儀」を述べたものです。 岩波文庫から出ています。所々に稚拙だが味わいのある挿絵が入っています。 結婚十五の歓び (岩波文庫 赤 571-1)作者: 出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1979/01/16メディア: 文庫 「結婚十五の歓び」なんて嘘ばっかり。結婚によって不幸になった男たちの話です。...
View Articleなんて素敵にジャパネスク
「なんて素敵にジャパネスク」 氷室冴子 (集英社コバルト文庫) 大納言家のおてんば娘「瑠璃(るり)姫」の愛と冒険を描く、王朝のドタバタ劇です。 1984年に出ると、またたくまに中高生の間でブームとなり、シリーズ化されました。 うちにあるのはコバルト文庫の旧版です。カバーのイラストが懐かしいです。 現在は新装版で読むことができます。 なんて素敵にジャパネスク...
View Articleコンタクト
「コンタクト」 カール・セーガン作 池央耿・高見浩訳 (新潮文庫) 人類が初めて地球外知的生命体とコンタクトする様を描いた、ハードSF小説です。 1980年代に書かれて、作者の死後1990年代に映画化されました。 新潮文庫から出ています。とても読みやすいです。 なお、カール・セーガンといえば科学番組「コスモス」を思い出す人も多いでしょう。 コンタクト〈上〉 (新潮文庫)作者:...
View Articleケルト神話と中世騎士物語
「ケルト神話と中世騎士物語」 田中仁彦 (中公新書) 中世騎士物語の中に生きている、ケルト人の他界の観念について解説しています。 新書です。1995年に出て、ロングセラーを続けている著書です。 ケルト神話と中世騎士物語―「他界」への旅と冒険 (中公新書)作者: 田中 仁彦出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1995/07/25メディア: 新書...
View Articleヘッダ・ガーブレル
「ヘッダ・ガーブレル」 イプセン作 原千代海訳 (岩波文庫) 美貌で自由奔放な女が、退屈な結婚生活の中でいかに行動するかを描いた戯曲です。 イプセン晩年の作品で、後にヘッダは多くの女優の意欲をそそる役柄となりました。 現在、岩波文庫から出ています。訳は比較的新しくて、分かりやすかったです。 ただ、私はイェルゲンの文末に頻出する「え?」というのが、気になりました。 ヘッダ・ガーブレル...
View Article2017年5月発売の気になる文庫本
◎ 2017年5月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。 データは、出版社やamazonの、HPやメールマガジンを参考にしています。 ・5/1 「卵を産めない郭公」 ジョン・ニコルズ(新潮文庫) → 村上柴田翻訳堂シリーズ。村上春樹訳なので読みたい。気になる。 ・5/1 「オリヴァー・ツイスト」 チャールズ・ディケンズ(新潮文庫) →...
View Article十二夜
「十二夜」 シェイクスピア作 河合祥一郎訳 (角川文庫) 男装のヴァイオラを中心に、三角関係のドタバタを描いた、喜劇の最高峰です。 クリスマス・シーズン最後の夜「十二夜」に上演するために書かれた喜劇です。 角川文庫から出ている河合訳が最新の訳です。文章は分かりやすかったです。 リズムもいいです。ライム(押韻)をすべて訳出することに挑戦したとのこと。 新訳 十二夜 (角川文庫)作者:...
View Articleこの世で一番の奇跡
「この世で一番の奇跡」 オグ・マンディーノ作 菅靖彦訳 (PHP文庫) 主人公がある老人から人生について学び、「神の覚え書き」を託される物語です。 「世界最強の商人」と並ぶベストセラーで、続編も出ました。 この世で一番の奇跡 (PHP文庫)作者: オグ マンディーノ出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2003/03メディア: 文庫 この世で一番の贈り物 (PHP文庫)作者: オグ...
View Articleプリンセス・トヨトミ
「プリンセス・トヨトミ」 万城目学 (文春文庫) 400年間秘密を守ってきた大阪の男たちと、会計検査官らとの対決を描いています。 「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」に続く関西モノの第三弾。映画化されました。 プリンセス・トヨトミ (文春文庫)作者: 万城目 学出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/04/08メディア: 文庫 「このことは誰も知らない。...
View Article世界最強の商人
「世界最強の商人」 オグ・マンディーノ作 山川紘矢・亜希子訳 (角川文庫) 世界最強の商人が、成功法について書かれた巻物を、次に引き継ぐまでの物語です。 わずか111ページですが、様々な成功法が凝縮されています。訳は2014年です。 世界最強の商人 (角川文庫)作者: オグ・マンディーノ出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2014/11/22メディア: 文庫...
View Article四畳半神話大系
「四畳半神話大系」 森見登美彦 (角川文庫) 京大3回生の男が、どんなサークルに入りどんな学生生活を送ったかを描いています。 「夜は短し歩けよ乙女」の前年に出ました。テレビアニメにもなりました。 四畳半神話大系 (角川文庫)作者: 森見 登美彦出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2008/03/25メディア: 文庫 「大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言...
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