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ヴィルヘルム・マイスターの修行時代

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 「ヴィルヘルム・マイスターの修行時代」
 ゲーテ作 山崎章甫(しょうほ)訳 (岩波文庫)


 青年ヴィルヘルムが、劇団員らと放浪しながら自己を成長させる物語です。
 ドイツ教養小説の伝統を作った名作で、多くの人々に影響を与えました。

 現在、岩波文庫から3分冊(上・中・下)で出ています。
 2000年に出たばかりの本なので、とても読みやすいです。


ヴィルヘルム・マイスターの修業時代〈上〉 (岩波文庫)

ヴィルヘルム・マイスターの修業時代〈上〉 (岩波文庫)

  • 作者: J.W. ゲーテ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/01/14
  • メディア: 文庫



 物語は、演劇好きの青年ヴィルヘルムが、失恋する所から始まります。
 恋人の女優マリアーネには、パトロンの男性がいたのでした。

 絶望したヴィルヘルムは、マリアーネを忘れるため家業に没頭します。
 しかし、演劇に対する熱い思いは、決して忘れられません。

 商用の旅の途中、メリーナという芸人と知り合い、再び演劇の世界へ。
 あれよあれよというまに、一座に仲間入りして、一緒に放浪します。

 その間、少女ミニョンや、竪琴弾きの老人らと出会います。
 そして一座は、某伯爵に活動の場を与えられ、活動は軌道に乗ります。
 しかし、その後の旅の途中で、盗賊団に襲われてしまいました。

 ようやく再会した団員たちは、リーダー役のヴィルヘルムを責めて・・・
 一方ヴィルヘルムは、盗賊から救ってくれた女騎士を探しますが・・・

 家業をほったらかして、勝手なことばかりやって、何が自己の成長か?
 と、突っ込みたくなりますが、まあ、単純に物語を楽しみましょう。

 前半は、演劇を通して様々な人と出会い、知らず知らず影響を受けます。
 そして後半、これまで関わった人々の、意外なつながりが見えてきます。

 人生における何でもない出会いが、実は大きな意味を持っています。
 人と人との縁というものは大事だ、ということを教えてくれます。
 そういう意味では、やはり教養小説ですね。

 ところで、前後半を分けるのは、「美わしい魂の告白」という章です。
 この章には様々な謎があるのですが・・・その話はまた次回に。

 さいごに。(突然の集団下校)

 先日、市内の小学校すべてが、突然集団下校しました。
 あるサイトで、無差別殺人予告があったようです。おそろしい。

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