「ヒュペーリオン」 ヘルダーリン作 青木誠之訳 (ちくま文庫)
ギリシアの一青年が、友情や恋愛や戦争体験を通じて自己形成する物語です。
32歳で発狂した作者の代表作です。哲学小説的な要素が多い作品です。
ちくま文庫から出ています。訳は新しいのですが、分かりにくい文体です。
387ページのうち、本文は300ページ。値段は1365円。少しお高いです。
ギリシアのヒュペーリオンから、ドイツの友人への手紙という形をとっています。
ヒュペーリオンには、「かなたへと越えてゆく者」という意味があるそうです。
さて、最初の重要人物は、教師のアダマス。
二人は、プラトンとアステールの関係だといいます。要するに、そういう関係。
次の重要人物は、旅で知り合った英雄的な青年アラバンダ。
二人は、抱擁したり口づけしたりしています。要するに、そういう関係。
次の重要人物は、美しいディオティーマ。今度はちゃんとした女性!
二人の愛は、熱く燃え上がります。しかし、アラバンダからの呼びかけで・・・
物語としては面白いと思うのですが、決して読みやすい小説ではありません。
感情的な表現が多くて、話が分りにくくなっているのです。
感嘆文が多いです。「おお、至福の自然よ。」「おお、聖なる日々よ。」とか。
こんな文体で手紙を書くなんて、普通は恥ずかしくてできません。
若さゆえの特権でしょう。
ヒュペーリオンには、青二才の激しい思い込みと、無意味な興奮があります。
実際、彼の行動は、極端から極端に走って、とても危なっかしい。
でも、そこがいいのかもしれません。
すでに46歳のおじさんである私には、とてもついていけない気がしましたが。
というわけで、好き嫌いが分かれる作品です。
青春真っ只中という人は、どうぞ。
さいごに。(東京スカイツリー)
東京はやはり暑かった!
ホテルの廊下から、スカイツリーが見えたので、思わずパチリ。
