「メリメ怪奇小説選」 メリメ作 杉捷夫(としお)訳 (岩波文庫)
「ドン・ファン異聞」「ヴィーナスの殺人」「熊男」の三作です。
「カルメン」で有名なメリメによる、怪奇短編小説です。
先月(2013年7月)に、重版が出たばかりです。
初版は1986年ですが、訳は1930年代のものなので、やや古さを感じます。
三作のうち、「ヴィーナスの殺人」は、作者会心の作だそうです。
実際、この作品が最も印象に残りました。
ペイレオラード氏は、地面に埋まっていた偶像を見つけて掘り出しました。
それは、古代に作られた大きな銅像。とても美しいヴィーナス像でした。
ペイレオラード氏の息子アルフォンスは、金曜日に結婚式を控えていました。
当日、花嫁に渡す指輪を、うっかりヴィーナスの指にはめたまま忘れて・・・
その後に起こる驚愕の出来事・・・
「熊男」もまた、印象に残る作品です。
じわじわと不気味さが増していく展開でした。
伯爵夫人が、結婚したばかりの頃に熊に襲われ、危なく一命を取り留めました。
しかし、そのときの恐怖が原因で、狂気に陥ってしまったのです。
やがて赤ん坊が生まれましたが、夫人は「獣を殺して下さい!」と叫びました。
その赤ん坊が、現在は青年となり、ある令嬢と結婚を考えていますが・・・
青年伯爵を取り巻く不思議の数々・・・
この二作に比べたら、「ドン・ファン異聞」はいまひとつです。
怪奇小説のカテゴリーに入れるには、少し無理があるのでは?
さて、メリメの傑作といえば、もちろん「カルメン」でしょう。
この短編集中の「マテオ・ファルコネ」もまた傑作です。
「カルメン」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-01-27
さいごに(世界陸上)
出張の間、世界陸上を全て予約録画していきました。
30時間ほどあるので、超・早送りで、飛ばしながら見ています。
(ボルトの100mは、ライブで見たかった!)
私が最も応援していたのは、男子マラソン。特に公務員ランナー川内。
川内の17位は少し残念。しかし、中本が5位入賞。やってくれました!