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メリメ怪奇小説選

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 「メリメ怪奇小説選」 メリメ作 杉捷夫(としお)訳 (岩波文庫)


 「ドン・ファン異聞」「ヴィーナスの殺人」「熊男」の三作です。
 「カルメン」で有名なメリメによる、怪奇短編小説です。

 先月(2013年7月)に、重版が出たばかりです。
 初版は1986年ですが、訳は1930年代のものなので、やや古さを感じます。


メリメ怪奇小説選 (岩波文庫 赤 534-4)

メリメ怪奇小説選 (岩波文庫 赤 534-4)

  • 作者: メリメ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1986/03/17
  • メディア: 文庫



 三作のうち、「ヴィーナスの殺人」は、作者会心の作だそうです。
 実際、この作品が最も印象に残りました。

 ペイレオラード氏は、地面に埋まっていた偶像を見つけて掘り出しました。
 それは、古代に作られた大きな銅像。とても美しいヴィーナス像でした。

 ペイレオラード氏の息子アルフォンスは、金曜日に結婚式を控えていました。
 当日、花嫁に渡す指輪を、うっかりヴィーナスの指にはめたまま忘れて・・・
 その後に起こる驚愕の出来事・・・

 「熊男」もまた、印象に残る作品です。
 じわじわと不気味さが増していく展開でした。

 伯爵夫人が、結婚したばかりの頃に熊に襲われ、危なく一命を取り留めました。
 しかし、そのときの恐怖が原因で、狂気に陥ってしまったのです。

 やがて赤ん坊が生まれましたが、夫人は「獣を殺して下さい!」と叫びました。
 その赤ん坊が、現在は青年となり、ある令嬢と結婚を考えていますが・・・
 青年伯爵を取り巻く不思議の数々・・・

 この二作に比べたら、「ドン・ファン異聞」はいまひとつです。
 怪奇小説のカテゴリーに入れるには、少し無理があるのでは?

 さて、メリメの傑作といえば、もちろん「カルメン」でしょう。
 この短編集中の「マテオ・ファルコネ」もまた傑作です。
 「カルメン」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-01-27

 さいごに(世界陸上)

 出張の間、世界陸上を全て予約録画していきました。
 30時間ほどあるので、超・早送りで、飛ばしながら見ています。
 (ボルトの100mは、ライブで見たかった!)

 私が最も応援していたのは、男子マラソン。特に公務員ランナー川内。
 川内の17位は少し残念。しかし、中本が5位入賞。やってくれました!

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