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クオ・ワディス2

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 「クオ・ワディス」 シェンキェーヴィチ作 木村彰一訳 (岩波文庫)


 「クオ・ワディス」については、まだまだ伝えたいことがあります。
 前回に続いて、「クオ・ワディス」について、書かせていただきます。

 これは、西暦60年頃のローマ帝国を舞台にした、壮大な歴史小説です。
 「クオ・ワディス」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-10-09


クオ・ワディス〈上〉 (岩波文庫)

クオ・ワディス〈上〉 (岩波文庫)

  • 作者: シェンキェーヴィチ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1995/03/16
  • メディア: 文庫



 この物語は、青年貴族ウィニキウスとリギアの愛を中心に描かれています。
 しかし、私のお気に入りは、その叔父のペトロニウス。
 私はこの本を読んで、すっかりペトロニウスのファンになってしまいました。

 ペトロニウスは、皇帝ネロの寵臣であり、「美の審判者」と呼ばれています。
 芸術を愛するネロのご機嫌を取ることによって、権勢を誇っています。

 一見すると、惰性で生きている、狡知で怠惰な貴族でしかありません。
 しかしペトロニウスには、人生に対する確固たる信念があるのです。

 彼には痛いほど分かっています。自分の地位が、はかないものであることが。
 ネロの気まぐれひとつで、自分の命が無くなることが。
 だからこそ、今目の前にある人生を、全力で楽しむ。そういう信念です。

 彼は確かにネロに追従しています。しかしそれは、命がけのゲームなのです。
 死から目をそむけるのではなく、死を見据えた上で、人生を楽しんでいます。

 だから、愛する甥のウィニキウスのために、死を恐れずネロに諫言します。
 自分の破滅を覚悟した上で、全力で人のために尽くす姿は、実に美しい。

 キリスト教の愛と苦難をテーマにしながらも、最も魅力的に描かれているのは、
 最後までキリスト教に染まらずに、自分の流儀を貫徹したペトロニウスです。

 さて、物語はローマの大火から佳境に入り、本から離れられなくなります。
 ペトロニウスやウィニキウスらが、どうなるのか、気になって気になって。

 終盤は、睡眠時間を4時間半にして、いっきに読んでしまいました。
 この作品は、今年最も夢中になって読んだ作品です。

 さいごに。(町内の運動会)

 うちの町内は小さくて、子供が少ないため、大人も子供も何種目も出ます。
 午前中に終わる運動会なのに、私も娘も4種目ずつ出ました。妻は2種目。

 娘は、スプーンリレーが優勝したので、大喜びでした。
 私は、町内対抗リレーのアンカーをやり、優勝して大満足です。

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