「クオ・ワディス」 シェンキェーヴィチ作 木村彰一訳 (岩波文庫)
「クオ・ワディス」については、まだまだ伝えたいことがあります。
前回に続いて、「クオ・ワディス」について、書かせていただきます。
これは、西暦60年頃のローマ帝国を舞台にした、壮大な歴史小説です。
「クオ・ワディス」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-10-09
この物語は、青年貴族ウィニキウスとリギアの愛を中心に描かれています。
しかし、私のお気に入りは、その叔父のペトロニウス。
私はこの本を読んで、すっかりペトロニウスのファンになってしまいました。
ペトロニウスは、皇帝ネロの寵臣であり、「美の審判者」と呼ばれています。
芸術を愛するネロのご機嫌を取ることによって、権勢を誇っています。
一見すると、惰性で生きている、狡知で怠惰な貴族でしかありません。
しかしペトロニウスには、人生に対する確固たる信念があるのです。
彼には痛いほど分かっています。自分の地位が、はかないものであることが。
ネロの気まぐれひとつで、自分の命が無くなることが。
だからこそ、今目の前にある人生を、全力で楽しむ。そういう信念です。
彼は確かにネロに追従しています。しかしそれは、命がけのゲームなのです。
死から目をそむけるのではなく、死を見据えた上で、人生を楽しんでいます。
だから、愛する甥のウィニキウスのために、死を恐れずネロに諫言します。
自分の破滅を覚悟した上で、全力で人のために尽くす姿は、実に美しい。
キリスト教の愛と苦難をテーマにしながらも、最も魅力的に描かれているのは、
最後までキリスト教に染まらずに、自分の流儀を貫徹したペトロニウスです。
さて、物語はローマの大火から佳境に入り、本から離れられなくなります。
ペトロニウスやウィニキウスらが、どうなるのか、気になって気になって。
終盤は、睡眠時間を4時間半にして、いっきに読んでしまいました。
この作品は、今年最も夢中になって読んだ作品です。
さいごに。(町内の運動会)
うちの町内は小さくて、子供が少ないため、大人も子供も何種目も出ます。
午前中に終わる運動会なのに、私も娘も4種目ずつ出ました。妻は2種目。
娘は、スプーンリレーが優勝したので、大喜びでした。
私は、町内対抗リレーのアンカーをやり、優勝して大満足です。