Quantcast
Channel: 文庫で読む文学全集
Viewing all articles
Browse latest Browse all 714

クオ・ワディス

$
0
0

 「クオ・ワディス」 シェンキェーヴィチ作 木村彰一訳 (岩波文庫)


 西暦60年頃のローマ帝国最盛期を舞台にした、壮大な歴史小説です。
 作者は19世紀ポーランドの作家で、ノーベル文学賞受賞者です。

 岩波文庫から三分冊で出ています。
 初版は1995年ですが、訳は1977年の講談社世界文学全集のものです。
 表紙はステンドグラスで美しい。上中下三冊並べて眺めたい。


クオ・ワディス〈上〉 (岩波文庫)

クオ・ワディス〈上〉 (岩波文庫)

  • 作者: シェンキェーヴィチ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1995/03/16
  • メディア: 文庫



クオ・ワディス〈中〉 (岩波文庫)

クオ・ワディス〈中〉 (岩波文庫)

  • 作者: シェンキェーヴィチ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1995/03/16
  • メディア: 文庫



クオ・ワディス〈下〉 (岩波文庫)

クオ・ワディス〈下〉 (岩波文庫)

  • 作者: シェンキェーヴィチ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1995/03/16
  • メディア: 文庫



 舞台は古代ローマ。西暦1世紀で、帝国の最盛期。
 皇帝は、悪名高きネロ。貴族たちは酒色に溺れ、堕落した生活を送っています。

 主人公は、美青年ウィニキウス。元執政官の息子で、ローマ軍の大隊長です。
 ウィニキウスはローマに帰還した折、美しいリギアに恋するようになりました。

 その恋心を打ち明けた相手は、叔父のペトロニウス。ネロの寵臣です。
 ペトロニウスはある策略を用いて、甥のためにリギアを奪略しようとします。

 しかし裏をかかれて、リギアは逃亡。探索するが、見つからず。
 しかしウィニキウスは、有力な情報を得て、ある集団の集会に入り込み・・・

 リギアはどこに隠れていたのか? 彼女をかくまっていた集団は何か?
 ウィニキウスの愛は成就するのか? そして、彼らの運命は?

 ネットでの評価通り、めちゃくちゃ面白い小説でした。
 魅力のひとつは、実在の人物が多数登場すること。
 時代考証もしっかりしていて、古代ローマを体感できる小説でした。

 ウィニキウスは架空の人物ですが、彼が頼る叔父ペトロニウスは実在の詩人。
 あの「サテュリコン」(現在品切れ)の作者として知られている人物です。
 「サテュリコン」 →  http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-12-02

 皇帝ネロ、その妻ポッパエア。親衛隊隊長ティゲリヌス。
 聖ペテロ、聖パウロ。もちろん、みな歴史上の人物です。

 歴史上の事件も詳細に描かれていて、古代ローマにトリップした感じです。
 ローマの大火も、キリスト教弾圧も、ペテロの殉教も描かれています。

 ちなみに、タイトルの「クオ・ワディス」は、新約聖書からの引用です。
 「どこへ行くのですか」という意味で、このときのエピソードは有名。

 ローマから逃れようとしたペテロの前に、復活したキリストが現れました。
 「どこへ行くのですか」と聞くペテロに、キリストは答えます。
 「お前がローマを見捨てるのなら、私が行ってもう一度十字架にかかろう。」

 作者シェンキェーヴィチは、強国の圧制に苦しむ故国ポーランドの状況を、
 迫害されるキリスト教徒に重ね合わせていたのだそうです。

 さいごに。(自宅でチョコは禁止)

 自宅でチョコを食べることを、控えることにしました。
 妻に、「甘いお菓子ばかり食べている男は魅力がない」と言われたので。

 小学校1年生の娘と、お菓子の取り合いをしているようではいけません。
 反省。で、昨日買ったチョコは、職場へ持って行きます。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 714

Trending Articles