「クオ・ワディス」 シェンキェーヴィチ作 木村彰一訳 (岩波文庫)
西暦60年頃のローマ帝国最盛期を舞台にした、壮大な歴史小説です。
作者は19世紀ポーランドの作家で、ノーベル文学賞受賞者です。
岩波文庫から三分冊で出ています。
初版は1995年ですが、訳は1977年の講談社世界文学全集のものです。
表紙はステンドグラスで美しい。上中下三冊並べて眺めたい。
舞台は古代ローマ。西暦1世紀で、帝国の最盛期。
皇帝は、悪名高きネロ。貴族たちは酒色に溺れ、堕落した生活を送っています。
主人公は、美青年ウィニキウス。元執政官の息子で、ローマ軍の大隊長です。
ウィニキウスはローマに帰還した折、美しいリギアに恋するようになりました。
その恋心を打ち明けた相手は、叔父のペトロニウス。ネロの寵臣です。
ペトロニウスはある策略を用いて、甥のためにリギアを奪略しようとします。
しかし裏をかかれて、リギアは逃亡。探索するが、見つからず。
しかしウィニキウスは、有力な情報を得て、ある集団の集会に入り込み・・・
リギアはどこに隠れていたのか? 彼女をかくまっていた集団は何か?
ウィニキウスの愛は成就するのか? そして、彼らの運命は?
ネットでの評価通り、めちゃくちゃ面白い小説でした。
魅力のひとつは、実在の人物が多数登場すること。
時代考証もしっかりしていて、古代ローマを体感できる小説でした。
ウィニキウスは架空の人物ですが、彼が頼る叔父ペトロニウスは実在の詩人。
あの「サテュリコン」(現在品切れ)の作者として知られている人物です。
「サテュリコン」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-12-02
皇帝ネロ、その妻ポッパエア。親衛隊隊長ティゲリヌス。
聖ペテロ、聖パウロ。もちろん、みな歴史上の人物です。
歴史上の事件も詳細に描かれていて、古代ローマにトリップした感じです。
ローマの大火も、キリスト教弾圧も、ペテロの殉教も描かれています。
ちなみに、タイトルの「クオ・ワディス」は、新約聖書からの引用です。
「どこへ行くのですか」という意味で、このときのエピソードは有名。
ローマから逃れようとしたペテロの前に、復活したキリストが現れました。
「どこへ行くのですか」と聞くペテロに、キリストは答えます。
「お前がローマを見捨てるのなら、私が行ってもう一度十字架にかかろう。」
作者シェンキェーヴィチは、強国の圧制に苦しむ故国ポーランドの状況を、
迫害されるキリスト教徒に重ね合わせていたのだそうです。
さいごに。(自宅でチョコは禁止)
自宅でチョコを食べることを、控えることにしました。
妻に、「甘いお菓子ばかり食べている男は魅力がない」と言われたので。
小学校1年生の娘と、お菓子の取り合いをしているようではいけません。
反省。で、昨日買ったチョコは、職場へ持って行きます。