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ローマ皇帝伝

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 「ローマ皇帝伝」 スエトニウス著 国原吉之助訳 (岩波文庫)


 カエサルからドミティアヌスまでの、帝政ローマ期の元首12人の伝記集です。
 著者スエトニウスは2世紀の人物で、皇帝付きの秘書官をしていました。

 今年2013年の7月に、岩波文庫恒例の夏の一括重版で、再版されました。
 初版は1986年。上下二分冊です。完訳です。


ローマ皇帝伝 上 (岩波文庫 青 440-1)

ローマ皇帝伝 上 (岩波文庫 青 440-1)

  • 作者: スエトニウス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1986/08/18
  • メディア: 文庫



 箇条書きのような形で、淡々とエピソードが綴られています。
 備忘録という感じなので、最初は少し味気なさを感じます。

 欠点は、物語形式ではないため、歴史の流れはつかみにくいところです。
 しかし、ローマ史の概略を復習してから読んだら、充分に楽しめました。

 私的には、各エピソードに通し番号が振られている点が、ありがたかったです。
 気に入ったエピソードの数字に〇をつけておくと、読み直すときに便利なので。

 さて、冒頭はわれらのカエサルです。
 こんな偉いことをした、こんな偉い人だった、というエピソードはむしろ退屈。

 面白いのはやはり、ゴシップです。特に、私生活にまつわること。
 カエサルが色を好んだことは有名ですが、この本には相手の名前まで書いてある!

 「〇〇の妻〇〇」といった形で、名門夫人の名前がずらりと登場。(P56)
 もちろん、エジプト女王クレオパトラのことも書いてあります。(P58)

 最もひどいゴシップは、青年時代にニコメデス王に男の操を売ったこと。(P13)
 偉大なカエサルも、この若き日の過ちによって、のちのちまでからかわれました。

 しかし、こういうゴシップによって、カエサルへの親近感が湧くから不思議です。
 偉人の欠点は、むしろその人の魅力となります。実際、カエサルは愛されました。

 カエサルに比べると、後継者のアウグストゥスは、真面目でつまらない。
 初代皇帝アウグストゥスは偉大すぎて、かえって親近感が湧きません。

 しかし、二代目以降は、けっこう面白いです。特に、カリグラとかネロとか。
 ネロのキリスト教徒虐殺が、書かれていないことは、少し意外でしたが。

 それにしても、皇帝になると悪人になっちゃう人が多いのは、なぜでしょう。
 やはり普通の人間が、ローマ皇帝という大役につくのは、無理なのでしょうね。

 さいごに。(今年はスタメン落ち)

 職場のサッカー大会の第一戦。今回私は、とうとうスタメンから外れました。
 相手の足が止まった後半から出場。
 しかし、相手以上に味方の足が止まっていて、ちっともボールが回ってこない。

 ようやく、ゴール前に転がってきたボールを、すべり込んでシュート。
 と思ったら、足が届かず空振り。 試合も1対5で完敗でした。

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