「ローマ皇帝伝」 スエトニウス著 国原吉之助訳 (岩波文庫)
カエサルからドミティアヌスまでの、帝政ローマ期の元首12人の伝記集です。
著者スエトニウスは2世紀の人物で、皇帝付きの秘書官をしていました。
今年2013年の7月に、岩波文庫恒例の夏の一括重版で、再版されました。
初版は1986年。上下二分冊です。完訳です。
箇条書きのような形で、淡々とエピソードが綴られています。
備忘録という感じなので、最初は少し味気なさを感じます。
欠点は、物語形式ではないため、歴史の流れはつかみにくいところです。
しかし、ローマ史の概略を復習してから読んだら、充分に楽しめました。
私的には、各エピソードに通し番号が振られている点が、ありがたかったです。
気に入ったエピソードの数字に〇をつけておくと、読み直すときに便利なので。
さて、冒頭はわれらのカエサルです。
こんな偉いことをした、こんな偉い人だった、というエピソードはむしろ退屈。
面白いのはやはり、ゴシップです。特に、私生活にまつわること。
カエサルが色を好んだことは有名ですが、この本には相手の名前まで書いてある!
「〇〇の妻〇〇」といった形で、名門夫人の名前がずらりと登場。(P56)
もちろん、エジプト女王クレオパトラのことも書いてあります。(P58)
最もひどいゴシップは、青年時代にニコメデス王に男の操を売ったこと。(P13)
偉大なカエサルも、この若き日の過ちによって、のちのちまでからかわれました。
しかし、こういうゴシップによって、カエサルへの親近感が湧くから不思議です。
偉人の欠点は、むしろその人の魅力となります。実際、カエサルは愛されました。
カエサルに比べると、後継者のアウグストゥスは、真面目でつまらない。
初代皇帝アウグストゥスは偉大すぎて、かえって親近感が湧きません。
しかし、二代目以降は、けっこう面白いです。特に、カリグラとかネロとか。
ネロのキリスト教徒虐殺が、書かれていないことは、少し意外でしたが。
それにしても、皇帝になると悪人になっちゃう人が多いのは、なぜでしょう。
やはり普通の人間が、ローマ皇帝という大役につくのは、無理なのでしょうね。
さいごに。(今年はスタメン落ち)
職場のサッカー大会の第一戦。今回私は、とうとうスタメンから外れました。
相手の足が止まった後半から出場。
しかし、相手以上に味方の足が止まっていて、ちっともボールが回ってこない。
ようやく、ゴール前に転がってきたボールを、すべり込んでシュート。
と思ったら、足が届かず空振り。 試合も1対5で完敗でした。