Quantcast
Channel: 文庫で読む文学全集
Viewing all articles
Browse latest Browse all 714

真空地帯

$
0
0

 「真空地帯」 野間宏 (岩波文庫)


 刑務所から部隊に戻った木谷一等兵の立場から、軍国主義を批判した作品です。
 野間宏の代表作で、映画化や舞台化もされました。

 かつて、岩波文庫や新潮文庫から出ていましたが、現在は絶版。
 私は、岩波文庫の2005年第30刷で読みました。初版は1956年。

 字が小さくて、古い活字が使われているため、とても読みにくかったです。
 しかも、会話が関西弁のため、関東文化圏の人間には、実に分かりにくい。
 それにもかかわらず、ぐいぐい引き込んでいく力のある作品です。


真空地帯 上巻 (岩波文庫 緑 91-1)

真空地帯 上巻 (岩波文庫 緑 91-1)

  • 作者: 野間 宏
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1956/01/09
  • メディア: 文庫



 軍隊には、人間的な空気がありません。そこは、「真空地帯」です。
 この真空地帯の壁を破ろうとしたのが、主人公の木谷です。

 木谷一等兵が、二年の刑を終わって部隊に帰った所から、物語は始まります。
 服役の理由は、部隊内での窃盗。しかし、それにしては刑が重すぎます。

 木谷の事件には、何かありそうなのです。
 物語が進むに従って、少しずつ様々な謎が、ほどかれていきます。

 次々に暴かれる軍部の腐敗。
 そして、どろどろした権力闘争。

 なぜ、木谷の罪がこれほど重くなったのか。
 誰が、木谷を陥れたのか。

 そして、事件の真相は?
 敵であった中尉が、最後に話してきかせた衝撃の真実!

 活字が小さくて読みにくいのに、どんどん読めてしまいます。
 内容は暗い話で気が滅入るのに、どんどん読めてしまいます。

 上巻を読み終わった時、手元に下巻が無くて慌てました。
 ぜひ、上下巻合わせて、改版を出してほしい。

 そして、少しは注釈もほしいです。
 頻出する「おすけ」の意味が分からなくて、もどかしい思いをしました。
 調べても分かりません。「役立たず」とか「ダメ男」とかの意味でしょうか。

 野間宏「暗い絵」はこちら
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-09-21

 さいごに。(両親、ヨーロッパ旅行から帰る)

 フランス、スイス、ドイツを回って、8日間の旅から、両親が帰ってきました。
 初めての海外だったため、心配しましたが、「とても楽しかった」とのこと。

 父は「モンサンミシェル」が、母は「すべて」が、良かったと言っています。
 そして、ヨーロッパのおかしを、たくさんおみやげに買ってきてくれました。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 714

Trending Articles