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シッダルタ

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 「シッダルタ」 ヘッセ作 手塚富雄訳 (岩波文庫)


 青年シッダルタが、様々な体験を通して、悟りの境地へ至るまでの物語です。
 ノーベル賞作家ヘッセの代表作のひとつです。

 岩波文庫と新潮文庫から出ています。私が読んだのは岩波文庫版。
 岩波文庫の手塚訳は名訳。流れるような原文のリズムが、生かされています。


シッダルタ (岩波文庫)

シッダルタ (岩波文庫)

  • 作者: ヘルマン・ヘッセ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/08/19
  • メディア: 文庫



 新潮文庫版の高橋健二訳も、良い訳だと思います。
 私は「シッダルタ」以外のヘッセ作品は、新潮文庫の高橋訳で読んでいます。


シッダールタ (新潮文庫)

シッダールタ (新潮文庫)

  • 作者: ヘッセ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1959/05/04
  • メディア: 文庫



 「蔭なす我が家のほとりに、日あたる川岸の小舟のかたわらに、沙羅の森、
 無花果の木蔭に、婆羅門の美しい子、若き鷹、シッダルタは・・・」(岩波版)

 この美しい冒頭によって、我々はいっきに古代インドの世界にいざなわれます。
 最初は少しとっつきにくいけれど、やがてこのリズムが、心地よくなります。

 主人公シッダルタは、バラモンの教えに飽き足りません。
 あるとき、親友ゴヴィンダとともに家を出て、遍歴の者たちの中に交じります。

 やがてシッダルタは、釈迦族のゴータマを知るようになります。
 そして、その教えを受けるようになり・・・ここで私は、びっくり!

 私はてっきり、「シッダルタ」=「ゴータマ」だと思っていました。
 だから、この作品は、仏陀の物語だと思っていたのです。

 でも、作中のシッダルタは、ゴータマ・シッダルタではなかったのですね。
 んー、ややこしい。仏陀の出家前の名前と、同じ名前の青年だったのか。
 冒頭に、「婆羅門(バラモン)の子」とあるから、ここで気づくべきだった。

 さて、シッダルタはあっけなくゴータマと別れ、物語は意外な展開に。
 次に彼が師としたのは、なんと・・・ここで私は、またもやびっくり!

 というわけで、物語は私の想定と、まったく違っていました。
 しかし、スピリチュアルな内容を含んでいて、とても美しい物語でした。

 第一部の最後で、シッダルタが覚醒していく場面が、素晴らしかったです。
 ヘッセは、インド思想を随分研究したようです。

 青年時代に読んだ「車輪の下」や「デミアン」も読み直したいです。
 内容をほとんど忘れてしまっているので。


車輪の下 (新潮文庫)

車輪の下 (新潮文庫)

  • 作者: ヘルマン ヘッセ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1951/12/04
  • メディア: 文庫



デミアン (新潮文庫)

デミアン (新潮文庫)

  • 作者: ヘッセ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1951/12/04
  • メディア: 文庫



 さいごに。(25m泳ぐ)

 娘はスイミングに通っているのですが、とうとう25m泳げるようになりました。
 自分が25m泳いだのは、2年か3年の時だったで、少し驚いています。

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