「デミアン」 ヘッセ作 高橋健二訳 (新潮文庫)
青年シンクレールが、年上の友人デミアンに導かれながら成長していく物語です。
心理学や東洋思想の影響が見られ、ヘッセにとって転換点となる作品です。
現在、新潮文庫と岩波文庫から出ていますが、どちらも訳が古すぎます。
私が読んだ新潮文庫版は、初版が1951年。岩波文庫版も、初版は1959年。
どちらも読みにくい箇所がありますが、それほどストレスは感じませんでした。
シンクレールは10歳の頃、つまらない嘘をついて、悪童に脅されてしまいました。
それを助けてくれたのが、年上の少年デミアンです。
二人は友達になりました。
その後も人生の大事な折々に、デミアンはシンクレールを導いていきます・・・
とても不思議な印象が残る小説です。
特に、デミアンの持つ不思議な魅力が大きいです。
デミアンは言います。
この世界には、「公認された神の世界と黙殺された悪魔の世界」がある。
「そこでつまり、神の礼拝とならんで悪魔の礼拝を行わなければならない。」(P94)
人間にも、神と悪魔の両面があり、その両面に目を向けるべきだと、言うのです。
なるほど。「デミアン」という名前は、「デーモン」からきているようです。
この小説のキーワードは、「カイン」と「アプラクサス」。
いずれも、キリスト教的には異端となっている信仰です。
これが書かれた当時は第一次大戦中。キリスト教徒同士で殺しあっていました。
この状況に絶望したヘッセは、これらの神々に救いを見出そうとしました。
こうしてヘッセは、東洋思想へ接近していきます。
デミアンが瞑想したり、未来を予言したりするのも、東洋思想の影響のようです。
そして、日本人にヘッセのファンが多い理由は、そういうところにもあるようです。
ところが・・・エヴァ夫人が登場すると、物語はあらぬ方向に進んでしまいました。
「そりゃないだろう!」という展開です。
ヘッセの熟女趣味が、うっかり出てしまったのか。
最後の最後で、作品の完成度を、著しく下げてしまった。実に惜しい!
さて、ヘッセの作品は、ほかにも多数文庫本になっています。
その中でも、「郷愁」と「車輪の下」は読んでおきたいです。
さいごに。(新春健康マラソン)
1月2日は、娘と一緒に、地元の「新春健康マラソン」に出てみました。
富士山を遠くに眺めながら走るのは、気持ちが良かったです。
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青年シンクレールが、年上の友人デミアンに導かれながら成長していく物語です。
心理学や東洋思想の影響が見られ、ヘッセにとって転換点となる作品です。
現在、新潮文庫と岩波文庫から出ていますが、どちらも訳が古すぎます。
私が読んだ新潮文庫版は、初版が1951年。岩波文庫版も、初版は1959年。
どちらも読みにくい箇所がありますが、それほどストレスは感じませんでした。
シンクレールは10歳の頃、つまらない嘘をついて、悪童に脅されてしまいました。
それを助けてくれたのが、年上の少年デミアンです。
二人は友達になりました。
その後も人生の大事な折々に、デミアンはシンクレールを導いていきます・・・
とても不思議な印象が残る小説です。
特に、デミアンの持つ不思議な魅力が大きいです。
デミアンは言います。
この世界には、「公認された神の世界と黙殺された悪魔の世界」がある。
「そこでつまり、神の礼拝とならんで悪魔の礼拝を行わなければならない。」(P94)
人間にも、神と悪魔の両面があり、その両面に目を向けるべきだと、言うのです。
なるほど。「デミアン」という名前は、「デーモン」からきているようです。
この小説のキーワードは、「カイン」と「アプラクサス」。
いずれも、キリスト教的には異端となっている信仰です。
これが書かれた当時は第一次大戦中。キリスト教徒同士で殺しあっていました。
この状況に絶望したヘッセは、これらの神々に救いを見出そうとしました。
こうしてヘッセは、東洋思想へ接近していきます。
デミアンが瞑想したり、未来を予言したりするのも、東洋思想の影響のようです。
そして、日本人にヘッセのファンが多い理由は、そういうところにもあるようです。
ところが・・・エヴァ夫人が登場すると、物語はあらぬ方向に進んでしまいました。
「そりゃないだろう!」という展開です。
ヘッセの熟女趣味が、うっかり出てしまったのか。
最後の最後で、作品の完成度を、著しく下げてしまった。実に惜しい!
さて、ヘッセの作品は、ほかにも多数文庫本になっています。
その中でも、「郷愁」と「車輪の下」は読んでおきたいです。
さいごに。(新春健康マラソン)
1月2日は、娘と一緒に、地元の「新春健康マラソン」に出てみました。
富士山を遠くに眺めながら走るのは、気持ちが良かったです。

