「シスター・キャリー」 ドライサー作 村山淳彦(きよひこ)訳 (岩波文庫)
物質文明に魅了された田舎娘キャリーの、波乱の人生を描いた都会小説です。
ドライサーのデビュー作で、「アメリカの悲劇」と並ぶ代表作です。
現在、岩波文庫から出ています。初版は1997年。
ドライサーは文体にクセがありますが、訳はとても分かりやすいです。
アメリカの中西部の田舎から、姉を頼ってシカゴに出てきた18歳のキャリー。
列車の中で、羽振りのいい会社員ドルーエと知り合い、希望が膨らみます。
しかし、仕事はきつく、姉夫婦は退屈。早くも都会生活に失望を感じます。
ところが、ドルーエと再会して、状況は一転。彼の援助を得ることに。(援交)
キャリーは、ドルーエによって、たちまち物質文明のきらめきに魅了されました。
しかし皮肉にも、そのきらめきによって、ドルーエが色あせて見えてくるのです。
そこに登場したのが、高級なバーの支配人ハーストウッド・・・
かれは所帯持ち。しかし、状況は二転三転して・・・
とても面白い小説です。展開が速くて、まったく飽きませんでした。
また、ストーリーは、良い意味で私の予想を裏切ってくれました。
キャリーは都会生活で堕落します。普通なら、その先にあるのは破滅です。
ところが、ところが・・・
確かにキャリーは、男どもによって堕落させられます。
しかしキャリーは、その堕落の過程で磨かれ、鍛えられていきます。
男どもはズルい。しかし、女たちは、もっとズルい。ずる賢い。
出版当時、キャリーの生き方は、道徳的な批判を浴びたといいます。
余談ですが、もっともズルいのは、ハーストウッド夫人。
この女ときたら・・・
一方、エイムズというまっとうな青年も、ちらっと登場します。
彼は、意外に大きな役割を果たしているのですが・・・それはまた次回に。
さいごに。(父の日にはロールケーキ)
父の日には、懲りずにまた、家族でロールケーキを食べる予定です。
おいしいロールケーキ屋を見つけたので。ただし、今度は普通サイズ。