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シスター・キャリー

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 「シスター・キャリー」 ドライサー作 村山淳彦(きよひこ)訳 (岩波文庫)


 物質文明に魅了された田舎娘キャリーの、波乱の人生を描いた都会小説です。
 ドライサーのデビュー作で、「アメリカの悲劇」と並ぶ代表作です。

 現在、岩波文庫から出ています。初版は1997年。
 ドライサーは文体にクセがありますが、訳はとても分かりやすいです。


シスター・キャリー〈上〉 (岩波文庫)

シスター・キャリー〈上〉 (岩波文庫)

  • 作者: シオドア・ドライサー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1997/06/16
  • メディア: 文庫



 アメリカの中西部の田舎から、姉を頼ってシカゴに出てきた18歳のキャリー。
 列車の中で、羽振りのいい会社員ドルーエと知り合い、希望が膨らみます。

 しかし、仕事はきつく、姉夫婦は退屈。早くも都会生活に失望を感じます。
 ところが、ドルーエと再会して、状況は一転。彼の援助を得ることに。(援交)

 キャリーは、ドルーエによって、たちまち物質文明のきらめきに魅了されました。
 しかし皮肉にも、そのきらめきによって、ドルーエが色あせて見えてくるのです。

 そこに登場したのが、高級なバーの支配人ハーストウッド・・・
 かれは所帯持ち。しかし、状況は二転三転して・・・

 とても面白い小説です。展開が速くて、まったく飽きませんでした。
 また、ストーリーは、良い意味で私の予想を裏切ってくれました。

 キャリーは都会生活で堕落します。普通なら、その先にあるのは破滅です。
 ところが、ところが・・・

 確かにキャリーは、男どもによって堕落させられます。
 しかしキャリーは、その堕落の過程で磨かれ、鍛えられていきます。

 男どもはズルい。しかし、女たちは、もっとズルい。ずる賢い。
 出版当時、キャリーの生き方は、道徳的な批判を浴びたといいます。

 余談ですが、もっともズルいのは、ハーストウッド夫人。
 この女ときたら・・・

 一方、エイムズというまっとうな青年も、ちらっと登場します。
 彼は、意外に大きな役割を果たしているのですが・・・それはまた次回に。

 さいごに。(父の日にはロールケーキ)

 父の日には、懲りずにまた、家族でロールケーキを食べる予定です。
 おいしいロールケーキ屋を見つけたので。ただし、今度は普通サイズ。

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