「シスター・キャリー」 ドライサー作 村山淳彦(きよひこ)訳 (岩波文庫)
物質文明に魅了された田舎娘キャリーの、波乱の人生を描いた都会小説です。
現在、岩波文庫から出ています。初版は1997年。訳は分かりやすかったです。
前回の続きです。この小説で、ちょっと気になるのが、エイムズ青年。
所々でちらっと登場するだけですが、キャリーへの影響力は大きい。
高級レストランで、豪華な食事を取るヴァンス家の人々とキャリー。
それは夢に描いていたきらびやかな世界。キャリーは幸せを感じます。
しかし、エイムズは言います。「ぼくは金持ちになりたいとは思いませんね」と。
「人間が幸せになるには、こんなものはな くてもいいんですよ」(P133~)と。
エイムズは、さっと現れ、さっと消えていきました。
しかし彼は、キャリーの心に、忘れられないほどの強烈な印象を残しました。
もしキャリーが、ドルーエやハーストウッドより前に、エイムズに会っていたら・・・
彼女の生き方は、全く違っていたはず。(小説としてはつまらなくなりそうですが)
エイムズは、この物語の中で、唯一のまっとうな考えを持っている男です。
彼の言葉の中に、作者ドライサーの主張が代弁されているように思います。
解説によると、作者ドライサーは、10人兄弟の下から2番目として生まれました。
貧しい家庭に育ったため、その多くが不良にな ったのだそうです。
特に次姉エマは、キャリーと似たような形で、ニューヨークへ駆け落ちしました。
「シスター・キャリー」の「シスター」には、姉への思い入れがあるのだとか。
なるほど。キャリーが悲惨な運命に陥らない理由が分かりました。
それに比べて、ハーストウッドの運命は・・・
ハーストウッドは、私が最も感情移入してしまった人物です。
私は、この男がかわいそうでかわいそうで・・・
物質文明の魅力。物質文明の魔力。都会生活に人は魅了され、振り回されてしまう。
それでも一度は、ニューヨークに行ってみたいと、思ってしまいました。
さて、次には、ぜひドライサーの代表作「アメリカの悲劇」が読みたいです。
以前は新潮文庫で出ていましたが、現在は品切れ。新訳を出してほしい。
さいごに。(水イボにはこれ)
プールのシーズンを前に、水いぼに悩まされているお子さんは多いと思います。
うちの娘は、いろいろ試した結果、「ヨクイニン」で治しました。
高いものではありません。1500円ほどで手に入ります。
娘の場合、飲んで数日で水イボは消えたので、プールに入れました。
ただし、飲み続けなければ、また出てきます。
水いぼは完治するまでに、どうしても1年以上はかかるようです。(娘は今年完治)
新しいブログを追加しました。本以外の商品の紹介ブログです。
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