キリマンジャロの雪
「キリマンジャロの雪」 ヘミングウェイ作 高見浩訳 (新潮文庫) アフリカで、脚の壊疽(えそ)によって死にかけている男の物語です。 アメリカ短編小説の最高峰のひとつです。 新潮文庫の「ヘミングウェイ全短編2」に収められています。 訳は1996年のもので、比較的新しいため、分かりやすいです。 勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪―ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)作者: アーネスト...
View Articleフラニーとズーイ
「フラニーとズーイ」 サリンジャー作 村上春樹訳 (新潮文庫) 現実世界に違和感を持ち悩むフラニーと、彼女を救おうとする兄ズーイの物語です。 「ライ麦畑でつかまえて」と並ぶ、サリンジャーの傑作です。 新潮文庫から3月に、村上春樹による新訳が出て、今も書店で平積みされています。 さすが村上春樹。分かりやすくて、癖になる文体でした。カバーもオシャレです。 フラニーとズーイ (新潮文庫)作者:...
View Articleキャッチャー・イン・ザ・ライ
「キャッチャー・イン・ザ・ライ」 サリンジャー作 村上春樹訳 (白水社) 放校された16歳のホールデンが、家に帰るまでの3日間を描いた青春小説です。 若者のバイブルとして、全世界で読まれている作品です。 文庫本ではありません。白水社から新書で、野崎孝訳と村上春樹訳が出ています。 分かりやすいのは村上訳の方。しかし、野崎訳の雰囲気を好む人も多いです。 キャッチャー・イン・ザ・ライ...
View Article2014年5月発売の気になる文庫本
2014年5月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。 データは、出版社等のHPやメールマガジンを参考にしています。 ◎ 新潮文庫(5/1)から、次の1冊。 ・ 「情事の終り」 グレアム・グリーン → 数年前に読んで感動した作品。嬉しい新訳。もちろん、買い。 ◎ ちくま文庫(5/8)から、次の1冊。 ・ 「オノリーヌ」 バルザック →...
View Articleグレート・ギャツビー
「グレート・ギャツビー」 フィッツジェラルド作 村上春樹訳 (中央公論社) 去に失ったものを取り戻すために人生をかけたギャツビーの、悲劇的な物語です。 フィッツジェラルドの最高傑作であり、アメリカ小説の最高峰です。 名作で、最近映画化もされたため、多くの出版社から訳が出ています。 私が最初に読んだのは、新潮文庫の野崎訳です。正直言ってピンときませんでした。 グレート・ギャツビー...
View Articleわれらの時代
「われらの時代・男だけの世界」 ヘミングウェイ作 高見浩訳 (新潮文庫) パリで文学修業をしていた時期の、総決算とも言われる短編集です。 初期の作品集ですが、すでに作者特有の文体が完成されています。 新潮文庫の「ヘミングウェイ全短編1」に収められています。 訳は1995年当時の新訳。原作のリズムを生かした素晴らしい訳です。 われらの時代・男だけの世界...
View Article蝶々と戦車
「蝶々と戦車」 ヘミングウェイ作 高見浩訳 (新潮文庫) 人気作家としての地位を確立した後の、スペイン時代とキューバ時代の短編です。 中でも「蝶々と戦車」は、スペイン内戦に材をとった名短編です。 新潮文庫から、「ヘミングウェイ全短編」が三分冊で出ています。 訳は高見浩。すばらしい訳です。もちろん私の本棚には、3冊並べてあります。 われらの時代・男だけの世界...
View Article長距離走者の孤独
「長距離走者の孤独」 アラン・シリトー作 河野一郎・丸谷才一訳 感化院の長距離走者の反抗を描いた表題作など、全8編を収めた短編集です。 爆発的人気を博した「土曜日の夜と日曜日の朝」に続く作品です。 新潮文庫と集英社文庫から出ていますが、どちらも訳者は同じです。 河野が6編、丸谷が2編を訳しています。リズムがあって読みやすい訳です。 長距離走者の孤独 (新潮文庫)作者: アラン...
View Article大使たち
「大使たち」 ヘンリー・ジェイムズ作 青木次生(つぎお)訳 (岩波文庫) 婚約者の息子を連れ帰るため、パリにやってきた五十五歳のストレザーの物語です。 ジェイムズ後期の傑作であり、「最も優れた作品」と自賛しています。 現在、岩波文庫から出ていますが、上巻が品切れの状態です。 私は、仕事帰りに立ち寄った書店で、偶然に見つけました。訳は分かりにくいです。 大使たち〈上〉 (岩波文庫)作者:...
View Articleヘンリー・ジェイムズ短編集
「ヘンリー・ジェイムズ短編集」 ジェイムズ作 大津栄一郎編訳 (岩波文庫) ジェイムズの中期から後期にかけての、円熟した短編4編を収録した作品集です。 あまり知られていませんが、ジェイムズらしい魅力にあふれた作品群です。 現在は品切れです。私はたまたま近所の書店で見つけました。 訳は1985年のもののようです。ジェイムズにしては、分かりやすいです。 ヘンリー・ジェイムズ短篇集 (岩波文庫...
View Articleナイン・ストーリーズ
「ナイン・ストーリーズ」 サリンジャー作 柴田元幸訳 (ヴィレッジブックス) 「バナナフィッシュ日和」など、9つの作品を収録した作者自薦の短編集です。 「キャッチャー・イン・ザ・ライ」と並ぶ、サリンジャーの代表作です。 2009年にヴィレッジブックスから柴田訳が出て、2012年に文庫化されました。 読みやすいのでオススメです。村上春樹の推薦文が帯になっています。 ナイン・ストーリーズ...
View Article誰がために鐘は鳴る
「誰がために鐘は鳴る」 ヘミングウェイ作 大久保康雄訳 (新潮文庫) スペイン内乱時における、アメリカ青年ジョーダンとスペイン娘マリアの物語です。 ヘミングウェイの作品中、おそらく最も人気のある作品です。 新潮文庫から、上下二分冊で出ています。 2007年に改版された時に読みましたが、訳は古いです。高見浩の訳は出ないのか? 誰がために鐘は鳴る〈上〉 (新潮文庫)作者: アーネスト...
View Articleフィッツジェラルド短篇集
「フィッツジェラルド短篇集」 佐伯泰樹編訳 (岩波文庫) 「バビロン再訪」など、フィッツジェラルドの代表的な短編を収録した作品集です。 数あるフィッツジェラルドの短編の中から、選びぬかれた6編です。 フィッツジェラルドの短編は、岩波文庫、新潮文庫、古典新訳文庫で読めます。 収録された作品は、本によって違います。 私は、岩波文庫版で読みました。比較的新しい訳で、分かりやすいです。...
View Article2014年6月発売の気になる文庫本
2014年6月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。 データは、出版社等のHPやメールマガジンを参考にしています。 ◎ ちくま文庫(6/10)から、次の1冊。 ・ 「暗黒事件 バルザック・コレクション」 バルザック → 歴史小説の傑作「暗黒事件」。バルザックコレクション3冊まとめ買い! ◎ 講談社学術文庫(6/11)から、次の1冊。 ・ 「神曲 地獄篇」 ダンテ・アリギエリ作...
View Articleワシントン・スクエア
「ワシントン・スクエア」 ヘンリー・ジェイムズ作 河島弘美訳 (岩波文庫) 美青年からの求婚を父親に反対されたキャサリンの、愛と成長の物語です。 「女相続人」というタイトルで舞台化され、映画化もされた名作です。 2011年に岩波文庫から、河島訳が出ました。 「大使たち」を読んだあとなので、訳の分かりやすさにびっくりしています。 ワシントン・スクエア (岩波文庫)作者:...
View Articleホーソーン短篇小説集
「ホーソーン短篇小説集」 坂下昇編訳 (岩波文庫) 「緋文字」で有名なホーソーンの、初期の短編小説集です。 ボルヘスが激賞した「ウェイクフィールド」等を収録しています。 先月5月に、岩波文庫から復刊されました。13編を収録しています。 初版は1993年ですが、訳はいつのものか? 少し読みにくかったです。 ホーソーン短篇小説集 (岩波文庫)作者: ホーソーン出版社/メーカー:...
View Article風の歌を聴け
「風の歌を聴け」 村上春樹 (講談社文庫) 21歳の大学生の僕が、夏休みに故郷に帰省した時の、18日間の物語です。 1979年に「群像新人文学賞」をとって発表された、村上春樹の出世作です。 現在、講談社文庫から出ています。大学時代(25年前!)に読みました。 デビュー25周年の2004年に、オリジナルカバーで出た時に再び買いました。 風の歌を聴け (講談社文庫)作者: 村上...
View Articleシスター・キャリー
「シスター・キャリー」 ドライサー作 村山淳彦(きよひこ)訳 (岩波文庫) 物質文明に魅了された田舎娘キャリーの、波乱の人生を描いた都会小説です。 ドライサーのデビュー作で、「アメリカの悲劇」と並ぶ代表作です。 現在、岩波文庫から出ています。初版は1997年。 ドライサーは文体にクセがありますが、訳はとても分かりやすいです。 シスター・キャリー〈上〉 (岩波文庫)作者:...
View Articleシズター・キャリー2
「シスター・キャリー」 ドライサー作 村山淳彦(きよひこ)訳 (岩波文庫) 物質文明に魅了された田舎娘キャリーの、波乱の人生を描いた都会小説です。 現在、岩波文庫から出ています。初版は1997年。訳は分かりやすかったです。 シスター・キャリー〈上〉 (岩波文庫)作者: シオドア・ドライサー出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1997/06/16メディア: 文庫...
View Article