「キャッチャー・イン・ザ・ライ」 サリンジャー作 村上春樹訳 (白水社)
放校された16歳のホールデンが、家に帰るまでの3日間を描いた青春小説です。
若者のバイブルとして、全世界で読まれている作品です。
文庫本ではありません。白水社から新書で、野崎孝訳と村上春樹訳が出ています。
分かりやすいのは村上訳の方。しかし、野崎訳の雰囲気を好む人も多いです。

キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)
- 作者: J.D. サリンジャー
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2006/04
- メディア: 新書
全寮制高校に通うホールデンは、クリスマス前に退学処分を食らいました。
思わず寮を飛び出したホールデンは、故郷ニューヨークに向かいます。
仲間との殴り合い、恋人とのけんか、タバコ、酒、セックス・・・
土曜から月曜までの3日間に体験したことを、ホールデン自身が語ります。
この小説の魅力は、なんといっても、主人公ホールデンの語り口です。
若者言葉を多用し、時に暴言を吐き、あらゆるものをこき下ろしています。
でも、それはホールデンが、誰よりも正直だからなのかもしれません。
正直だからこそ、世の中の偽善に我慢できないのでしょう。
そんなホールデンも、死んだ弟アリーのことは、大事に思っていました。
そして、10歳の妹フィービーのことを、心から可愛がっています。
特に、終盤のフィービーとやりとりには、じーんときます。
最後は、ちょっと泣けてしまいます。
さて、私がこの作品を最初に読んだのは、大学4年のときです。
当時夢中になって読んでいた「ノルウェイの森」の影響です。
「緑」が、「あなたって、ライ麦畑の男の子みたいなしゃべりかたをするのね」と、
「僕」に言う場面があって、どんなしゃべり方なのか気になって読んだのです。
当時は野崎訳だけしかなくて、野崎訳で読みましたが、ぴんときませんでした。
しかし今回、村上春樹訳を読んで、とてもしっくりきました。
そうか、「緑」が言ったのは、こういうしゃべりかただったんだ、と納得しました。
野崎訳のホールデンは、攻撃的な感じで、とっつきにくいです。
村上訳のホールデンは、友達に話しているような感じで、親しみやすいです。
どちらも評価が高い翻訳で、だからこそ同じ白水社から二種の訳が出ています。
どちらを選ぶかは、相性と好みの問題です。私は両方とも、本棚に並べています。
さいごに。(参観会)
娘の小学校の参観会に行きました。一生懸命に授業を受けていていました。
授業の最後には発表することができて、とても喜んでいました。(私も)