「誕生日の子どもたち」 カポーティ作 村上春樹訳 (文春文庫)
少年たちの「無垢」をテーマにした、全6編の短編小説集です。
自伝的な小説が4編収録されていて、興味深いです。
この短編集は、文春文庫から2009年に出ました。訳は村上春樹。
「ティファニーで朝食を」同様、すばらしい訳です。
「クリスマスの思い出」は、心にしみる自伝的小説です。
7歳の僕と、親友である老婆が、クリスマスを祝った思い出です。
二人は、ケーキを焼き、プレゼントを交換して、楽しく過ごします。
しかしそれは、二人がともに過ごした最後のクリスマスで・・・
「あるクリスマス」は、ちょっとせつない自伝的小説です。
6歳の僕が、遠く離れた父と、クリスマスを過ごした思い出です。
「これからは一緒に暮らそう」と言う父と、それを拒む僕。
僕が父親の愛情に気づくのは、ずっとあとのことで・・・
「おじいさんの思い出」も、せつない感じの自伝的小説です。
学校に行くために、離れることになったおじいさんの思い出です。
別れを悲しむおじいさんと、最後に交わした秘密の約束。
しかしその秘密の意味が分かったのは、ずっとあとのことで・・・
さて、私の一番のオススメは、「感謝祭の客」です。
なんともいえない後味と、深い余韻を残す自伝的な小説です。
感謝祭のパーティーで、僕はオッドが盗みを働くのを見ました。
僕の取った行動と、オッドの対応。悪はいったいどっちなのか・・・
ちなみに、「クリスマスの思い出」は、新潮文庫の村上春樹訳
「ティファニーで朝食を」にも、収録されていました。
ほかに「無垢」をテーマにした作品に、「草の竪琴」があります。
ぜひ村上春樹に訳してほしい作品です。
余談ですが、カポーティと三島由紀夫は、意気投合していたのだそうです。
二人は同じ趣味があったから? 「遠い声・遠い部屋」も読んでみたい。
さいごに。(金曜日の必殺技)
金曜日、娘は学校から帰ってくると、「宿題はパパとやる」と言います。
ママは、「じゃあ、明日パパに見てもらいな」と答えます。
娘は、宿題をやらずに遊びに行きます。もちろん、これは娘の作戦。
パパと一緒にやりたいわけではなく、宿題をやるのが面倒くさいだけ。
それでも、土曜日に一緒に宿題をやるのが、私は嬉しかったりする。