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誕生日の子どもたち

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 「誕生日の子どもたち」 カポーティ作 村上春樹訳 (文春文庫)


 少年たちの「無垢」をテーマにした、全6編の短編小説集です。
 自伝的な小説が4編収録されていて、興味深いです。

 この短編集は、文春文庫から2009年に出ました。訳は村上春樹。
 「ティファニーで朝食を」同様、すばらしい訳です。


誕生日の子どもたち (文春文庫)

誕生日の子どもたち (文春文庫)

  • 作者: トルーマン カポーティ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/06/10
  • メディア: 文庫



 「クリスマスの思い出」は、心にしみる自伝的小説です。
 7歳の僕と、親友である老婆が、クリスマスを祝った思い出です。

 二人は、ケーキを焼き、プレゼントを交換して、楽しく過ごします。
 しかしそれは、二人がともに過ごした最後のクリスマスで・・・

 「あるクリスマス」は、ちょっとせつない自伝的小説です。
 6歳の僕が、遠く離れた父と、クリスマスを過ごした思い出です。

 「これからは一緒に暮らそう」と言う父と、それを拒む僕。
 僕が父親の愛情に気づくのは、ずっとあとのことで・・・

 「おじいさんの思い出」も、せつない感じの自伝的小説です。
 学校に行くために、離れることになったおじいさんの思い出です。

 別れを悲しむおじいさんと、最後に交わした秘密の約束。
 しかしその秘密の意味が分かったのは、ずっとあとのことで・・・

 さて、私の一番のオススメは、「感謝祭の客」です。
 なんともいえない後味と、深い余韻を残す自伝的な小説です。

 感謝祭のパーティーで、僕はオッドが盗みを働くのを見ました。
 僕の取った行動と、オッドの対応。悪はいったいどっちなのか・・・

 ちなみに、「クリスマスの思い出」は、新潮文庫の村上春樹訳
 「ティファニーで朝食を」にも、収録されていました。

 ほかに「無垢」をテーマにした作品に、「草の竪琴」があります。
 ぜひ村上春樹に訳してほしい作品です。

 余談ですが、カポーティと三島由紀夫は、意気投合していたのだそうです。
 二人は同じ趣味があったから? 「遠い声・遠い部屋」も読んでみたい。

 さいごに。(金曜日の必殺技)

 金曜日、娘は学校から帰ってくると、「宿題はパパとやる」と言います。
 ママは、「じゃあ、明日パパに見てもらいな」と答えます。

 娘は、宿題をやらずに遊びに行きます。もちろん、これは娘の作戦。
 パパと一緒にやりたいわけではなく、宿題をやるのが面倒くさいだけ。
 それでも、土曜日に一緒に宿題をやるのが、私は嬉しかったりする。


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