Quantcast
Channel: 文庫で読む文学全集
Viewing all articles
Browse latest Browse all 714

夜の樹

$
0
0
 「夜の樹」 カポーティ作 川本三郎訳 (新潮文庫)


 タイトル作「夜の樹」や「ミリアム」など、カポーティの代表作を含む短編集です。
 孤独と心の闇を描いた作品が目立ちます。

 新潮文庫から出ています。訳は1994年。味わいのあるすばらしい訳です。
 「無頭の鷹」「誕生日の子どもたち」「感謝祭のお客」などは、文春文庫版と重複。


夜の樹 (新潮文庫)

夜の樹 (新潮文庫)

  • 作者: トルーマン カポーティ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1994/03/01
  • メディア: 文庫



 冒頭の「ミリアム」は、老年の女性の心の深奥を描いたホラーっぽい小説です。
 ミセス・ミラーは、自分と同じ「ミリアム」という名の少女に出会います。

 数日後の深夜、その少女が、突然ミセス・ミラーの家を訪れました。
 この少女は何者か? なぜ住所を知っていたのか? そして衝撃の結末・・・

 私は、この作品が読みたくて、この本を買いました。期待通りでした。
 ありふれた怪奇小説より、ずっと怖かったです。

 タイトル作の「夜の樹」もまた、ホラーっぽい作品です。
 19歳のケイが、汽車の中で、奇妙な老夫婦に出会います。

 強引にジンを飲ませて話しかける老婆。口のきけない男。
 そして、「生きたまま埋められる男」という出し物・・・

 ほか、「夢を売る女」「最後の扉を閉めて」「無頭の鷹」などなど、
 いずれも、人間の孤独と、心の内奥の狂気を描いた作品ばかりです。

 文春文庫の短編集では、純真で、心が暖まるような話が目立ちました。
 この短編集では、異常で、心を凍りつかせるような話が目立ちます。

 どちらが本当のカポーティか。いや、どちらも同じカポーティです。
 純真さと異常さは、案外、隣り合わせで存在しているのかもしれません。

 そういえば、カポーティ自身も、純真さと異常さを兼ね備えていました。
 カポーティに関しては、文春文庫版の村上春樹による解説がすばらしいです。

 さいごに。(アナ雪DVDゲット)

 「アナ雪」のDVDを、発売日に買いに行って、娘はさっそく見ています。
 明日の土曜日には、家族みんなで見る予定です。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 714

Trending Articles