「荒野の呼び声」 ジャック・ロンドン作 海保眞夫訳 (岩波文庫)
アラスカの厳しい自然の中で、野性の本能に目覚める犬のバックの物語です。
ジャック・ロンドンの名を、一躍高めた傑作です。
岩波文庫と古典新訳文庫(「野生の呼び声」)から出ています。
どちらも新しい訳なので、とても読みやすいです。どちらもオススメです。
番犬のバックは、判事の大きな屋敷で、大切に育てられてきました。
しかしある日、盗まれて売られ、アラスカに連れて行かれたのです。
そこで待っていたのは、雪の厳しい世界と、犬ぞりの過酷な労働でした。
バックはその中で、徐々に野性の本能に目覚めてゆくのです・・・
私は犬が、あまり好きではありません。(猫もウサギも動物はみんな)
しかし、バックには完全に感情移入してしまいました。
自分の遺伝子に残る遠い記憶。オオカミだったころの野性の本能。
それがしだいに呼び覚まされていくところが、とても良かったです。
こういうテーマは、人間を主人公にしたら、なかなか書けません。
人類が猿の本能が目覚める話なんて、考えただけで笑ってしまう。
しかし犬を主人公にしながらも、人間の生き方を描いていると思います。
アメリカ文学伝統の、「自然に帰れ」というメッセージを感じました。
次には、この作品の姉妹版「白い牙」も読みたいです。
さいごに。(台風の思い出)
数年前、台風の影響で停電した時、娘は少し怖がりました。
そこで、娘の気持ちを紛らすために、家族3人でトランプをしました。
ローソクの明かりでやったババ抜きは、娘に強い印象を与えたようです。
台風は、娘にとって、ワクワクする楽しい思い出になってしまいました。
今また、台風が近づいていて心配です。しかし、娘だけは喜んでいます。