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Channel: 文庫で読む文学全集
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荒野の呼び声

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 「荒野の呼び声」 ジャック・ロンドン作 海保眞夫訳 (岩波文庫)


 アラスカの厳しい自然の中で、野性の本能に目覚める犬のバックの物語です。
 ジャック・ロンドンの名を、一躍高めた傑作です。

 岩波文庫と古典新訳文庫(「野生の呼び声」)から出ています。
 どちらも新しい訳なので、とても読みやすいです。どちらもオススメです。


荒野の呼び声 (岩波文庫)

荒野の呼び声 (岩波文庫)

  • 作者: ジャック ロンドン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1997/12/16
  • メディア: 文庫



野性の呼び声 (光文社古典新訳文庫)

野性の呼び声 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ジャック ロンドン
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/09/06
  • メディア: 文庫



 番犬のバックは、判事の大きな屋敷で、大切に育てられてきました。
 しかしある日、盗まれて売られ、アラスカに連れて行かれたのです。

 そこで待っていたのは、雪の厳しい世界と、犬ぞりの過酷な労働でした。
 バックはその中で、徐々に野性の本能に目覚めてゆくのです・・・

 私は犬が、あまり好きではありません。(猫もウサギも動物はみんな)
 しかし、バックには完全に感情移入してしまいました。

 自分の遺伝子に残る遠い記憶。オオカミだったころの野性の本能。
 それがしだいに呼び覚まされていくところが、とても良かったです。

 こういうテーマは、人間を主人公にしたら、なかなか書けません。
 人類が猿の本能が目覚める話なんて、考えただけで笑ってしまう。

 しかし犬を主人公にしながらも、人間の生き方を描いていると思います。
 アメリカ文学伝統の、「自然に帰れ」というメッセージを感じました。

 次には、この作品の姉妹版「白い牙」も読みたいです。


白い牙 (光文社古典新訳文庫)

白い牙 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ジャック ロンドン
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/03/12
  • メディア: 文庫



 さいごに。(台風の思い出)

 数年前、台風の影響で停電した時、娘は少し怖がりました。
 そこで、娘の気持ちを紛らすために、家族3人でトランプをしました。

 ローソクの明かりでやったババ抜きは、娘に強い印象を与えたようです。
 台風は、娘にとって、ワクワクする楽しい思い出になってしまいました。
 今また、台風が近づいていて心配です。しかし、娘だけは喜んでいます。


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