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深い河

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 「深い河(ディープ・リバー)」 遠藤周作 (講談社文庫)


 旅行に参加した日本人の視点で、全てが混在し共存しているインドを描いた作品です。
 キリスト教について追求し続けてきた作者が、最後にたどりついた集大成的作品です。

 講談社文庫から出ています。新潮文庫ではありません。
 この作品のカバーだけが、他とコンセプトが違うのは、出版社が違うからです。


深い河 (講談社文庫)

深い河 (講談社文庫)

  • 作者: 遠藤 周作
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1996/06/13
  • メディア: 文庫



 35年間連れ添った妻が、癌に侵され、先立って逝きました。
 そのとき、最後に言った妻の言葉が、磯辺に強い印象を残しました。

 「わたくし・・・必ず・・・生まれかわるから、この世界の何処かに。
 探して・・・わたくしを見つけて・・・約束よ、約束よ」(P26)

 たまたま出会った「前 世を記憶する子どもたち」という本。
 北インドに現れた、前世を日本人として生きたと言う少女。

 磯辺は、ある目的を持って、インド旅行に参加します。
 その旅行には、ほかにもそれぞれの思いを持って参加した人々がいて・・・

 面白かったです。冒頭から引き込まれ、結末までまっしぐらでした。
 遠藤周作の作品では、これがダントツでマイ・ベストです。

 内容は深淵です。前世、生まれ変わり、神、信仰、そしてインド。
 色々なことを考えてしまいます。次のような関連本も出ていました。


「深い河」をさぐる (文春文庫)

「深い河」をさぐる (文春文庫)

  • 作者: 遠藤 周作
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1997/03
  • メディア: 文庫



 さて、冒頭を読んで、「あれ?」と思いました。どこかで読んだ文章だ。
 それもそのはず。1993年の出版当時に、私はこれを読んでいたのです。

 今から20年ほど前。社会人4年目ぐらいのこと。すっかり忘れていました。
 この作品を読んだあと、インド本のマイ・ブームがあったのです。
 インド本 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-03-13

 作中で、神父になりそこねた大津が、インドにたどり着いた点は興味深い。
 「神は幾つもの顔をもたれ、それぞれの宗教にもかくれておられる」という、
 彼の言葉は、とても印象的でした。

 「清浄と不潔、神聖と卑猥、慈悲と残忍とが混在し共存している」インド。
 私もいつか、旅してみたいです。(妻は大反対していますが)

 そして、全てをごちゃまぜにしながら飲み込んでゆくガンジス河を見てみたい。
 作者も、キリストを追求し続けた果てに、ガンジスに行き着いたのでしょうか。

 さいごに。(道路が川に)

 先日の台風のとき、職場の近くの川があふれて、道路に水が流れ込みました。
 その結果、道路も川になってしまいました。

 車は、半分水中を泳ぐように走って、ようやく職場にたどりつきました。
 そのあと更に水かさが増したため、水没しかけた車がありました。

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