荒野の呼び声
「荒野の呼び声」 ジャック・ロンドン作 海保眞夫訳 (岩波文庫) アラスカの厳しい自然の中で、野性の本能に目覚める犬のバックの物語です。 ジャック・ロンドンの名を、一躍高めた傑作です。 岩波文庫と古典新訳文庫(「野生の呼び声」)から出ています。 どちらも新しい訳なので、とても読みやすいです。どちらもオススメです。 荒野の呼び声 (岩波文庫)作者: ジャック ロンドン出版社/メーカー:...
View Article死海のほとり
「死海のほとり」 遠藤周作 (新潮文庫) イエスの足跡をたどる「私」が、次第に無力なイエスの姿を見出していく物語です。 現代の物語「巡礼」と、イエスの物語「群像の一人」が、交錯しながら進みます。 新潮文庫から出ています。カバーの写真に味わいがあります。 本作と「イエスの生涯」と「キリストの誕生」は、3点でワンセットです。 死海のほとり (新潮文庫)作者: 遠藤 周作出版社/メーカー:...
View Article海流のなかの島々
「海流のなかの島々」 ヘミングウェイ作 沼澤洽治訳 (新潮文庫) キューバ沖の島に住み、秘密の任務に就く、画家ハドソンの物語です。 作者の遺作で、死後夫人によって刊行されました。 新潮文庫から出ています。1971年の訳なので、少し古さを感じました。 上下二分冊です。カバーが美しいので、ぜひ二冊並べておきたい。 海流のなかの島々 上巻 (新潮文庫 ヘ 2-8)作者:...
View Article夜はやさし
「夜はやさし」 フェッツジェラルド作 谷口陸男訳 (角川文庫) ある精神科医と、精神を病んだ妻の、十数年の結婚生活を描いた物語です。 フィッツジェラルドの最後の長編で、自伝的な要素が多い作品です。 現在、角川文庫で読むことができます。 初版は1960年。訳は古いので、正直に言って、分かりにくかったです。 夜はやさし(上) (角川文庫)作者: フィツジェラルド出版社/メーカー:...
View Articleラスト・タイクーン
「ラスト・タイクーン」 フィッツジェラルド作 大貫三郎訳 (角川文庫) ハリウッドを舞台に、大物プロデューサーの栄光と没落を描いた小説です。 フィッツジェラルドがアル中による心臓発作で亡くなったため、未完です。 角川文庫から出ています。1977年の訳で、少し分かりにくいです。 書かれなかった物語の構想が、巻末に丁寧にまとめられています。 ラスト・タイクーン (角川文庫)作者:...
View Article賢者の贈り物
「1ドルの価値・賢者の贈り物」 O・ヘンリー作 芹澤恵訳 (古典新訳文庫) やさしくあたたかく、そしてちょっとひねりのきいたO・ヘンリーの作品集です。 「賢者の贈り物」「最後の一葉」などは、日本でもおなじみの傑作です。 古典新訳文庫版が、最も新しい訳です。読みやすいので、オススメです。 ほか、岩波文庫版、新潮文庫版(全3巻)もあります。 1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編...
View Article2014年11月発売の気になる文庫本
2014年11月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。 データは、出版社等のHPやメールマガジンを参考にしています。 ◎ 岩波文庫(11/14)から、次の2冊。 ・ 「大いなる遺産(上)」 ディケンズ → 訳者は「コパフィールド」と同じ石塚氏。嬉しい新訳。期待大。 ・ 「スケッチ・ブック(上)」 アーヴィング → しばらくの間、品切れで文庫では読めなかった。全編新訳。即買い。...
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「白い牙」 ジャック・ロンドン作 深町眞理子訳 (古典新訳文庫) 荒野に生まれた狼が、紆余曲折を経たのち、人間社会に溶け込んでいく物語です。 名作「荒野の呼び声」と、表裏一体となっている作品です。 古典新訳文庫から出ています。訳がとても分かりやすいので、オススメです。 白い牙 (光文社古典新訳文庫)作者: ジャック ロンドン出版社/メーカー: 光文社発売日: 2009/03/12メディア:...
View Articleシートン動物記
「シートン動物記 狼王ロボ」 シートン作 藤原英司訳 (集英社文庫) 「狼王ロボ」「灰色グマワーブ」など、児童小説としておなじみの動物物語集です。 シートンは、作家としてはもちろん、画家として、博物学者としても活躍しました。 集英社文庫から出ています。訳はとても分かりやすいので、オススメです。 所々に、シートン自身による挿絵が入っていて、嬉しいです。全3巻です。 狼王ロボ シートン動物記...
View Article情事の終り
「情事の終り」 グレアム・グリーン作 上岡伸雄訳 (新潮文庫) ある著名作家と、高級官僚の妻との、愛と情事と祈りと信仰の物語です。 「第三の男」で有名な作者の、代表作と考えられている作品です。 新潮文庫から、今年5月に新訳が出たので、6年ぶりに読み直しました。 旧版の田中訳よりも、分かりやすい文章でした。 情事の終り (新潮文庫)作者: グレアム グリーン出版社/メーカー: 新潮社発売日:...
View Article情事の終り2
「情事の終り」 グレアム・グリーン作 上岡伸雄訳 (新潮文庫) ある著名作家と、高級官僚の妻との、愛と情事と祈りと信仰の物語です。 (前回の続きです。今回はネタバレが多めです。) 情事の終り (新潮文庫)作者: グレアム グリーン出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/04/28メディア: 文庫 内容は深淵です。テーマは「愛と情事」から次第に「祈りと信仰」に移ります。...
View Article第三の男
「第三の男」 グレアム・グリーン作 小津次郎訳 (ハヤカワepi文庫) 第二次大戦後のウィーンを舞台に、ある小説家が親友の死の謎を追う物語です。 オーソン・ウェルズ主演の映画は、古典的名作としてあまりにも有名です。 2001年にハヤカワepi文庫が創刊されたとき、その1冊目として配本されました。 訳は1979年に出たものですが、分かりやすいです。活字も読みやすいです。 第三の男...
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View Articleワインズバーグ・オハイオ
「ワインズバーグ・オハイオ」 アンダスン作 橋本福夫訳 (新潮文庫) 架空の街に住む様々な人物を通して、さびれゆく田舎町の悲哀を描いた作品です。 エピソードを集めて一つの物語にする形式は、この作品によって創始されました。 私が読んだ新潮文庫版は、現在品切れです。家にたまたまあったので読みました。 初版は1954年。訳は古くて分かりにくく、活字は小さくて読みにくかったです。...
View Article響きと怒り1
「響きと怒り(上)」 フォークナー作 平石・新納(にいろ)訳 (岩波文庫) ジェファソンの名家コンプソン一族の没落を、4人の視点から描いた作品です。 フォークナーの代表作であり、アメリカ文学の最高峰のひとつでもあります。 岩波文庫から2007年に新訳が出ています。注釈が丁寧なのでオススメです。 上の巻末には「主要出来事年表」や「場面転換表」がある。実に親切です。 響きと怒り (上)...
View Article響きと怒り2
「響きと怒り(下)」 フォークナー作 平石・新納(にいろ)訳 (岩波文庫) ジェファソンの名家コンプソン一族の没落を、4人の視点から描いた作品です。 前回の続きです。 響きと怒り (上) (岩波文庫)作者: フォークナー出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/01/16メディア: 文庫 響きと怒り (下) (岩波文庫)作者: フォークナー出版社/メーカー: 岩波書店発売日:...
View Articleサンクチュアリ
「サンクチュアリ」 フォークナー作 加島祥造訳 (新潮文庫) 無実の罪で逮捕された男の悲劇と、彼の弁護人の絶望的な努力を描いた作品です。 作者自身が、「想像しうる限りの最も恐ろしい物語」を書いたと言いました。 新潮文庫から出ていますが、初版が1972年で、訳が少し古いです。 しかし、それほど読みにくくはありませんでした。 サンクチュアリ (新潮文庫)作者: フォークナー出版社/メーカー:...
View Article2014年12月発売の気になる文庫本
2014年11月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。 データは、出版社等のHPやメールマガジンを参考にしています。 ◎ 新潮文庫(12/01)の名作新訳コレクションから、次の2冊。 ・ 「賢者の贈りもの」 O・ヘンリー → 小川高義による待望の新訳。古典新訳文庫版と読み比べたい。 ・ 「飛ぶ教室」 ケストナー → 池内紀による待望の新訳。古典新訳文庫版と読み比べたい。 ◎...
View Articleカラマーゾフの妹
「カラマーゾフの妹」 高野史緒(ふみお) (講談社文庫) 「カラマーゾフ事件」から13年後に、次男のイワンが真犯人を探す物語です。 作者は女性。この作品は、2012年に江戸川乱歩賞を受賞しています。 今年2014年に講談社文庫から出たばかりです。 カラマーゾフの妹 (講談社文庫)作者: 高野 史緒出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/08/12メディア: 文庫...
View Article地下室の手記
「地下室の手記」 ドストエフスキー作 江川卓訳 (新潮文庫) 自意識過剰の元役人が地下室にひきこもり、人間の非合理性を訴えた記録です。 ドストの大きな転換点となる作品で、このあと「罪と罰」が生まれました。 新潮文庫、古典新訳文庫などから出ています。どちらも分かりやすいです。 新潮文庫の江川訳は名訳。2013年に改版が出て、活字が読みやすくなりました。 地下室の手記 (新潮文庫)作者:...
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