「ギリシア神話」 アポロドーロス著 高津春繁訳 (岩波文庫)
古代ローマ時代に、系統的に簡潔にまとめられた、ギリシア神話の基本資料です。
ローマの影響を受けて変容してしまう前の、素朴な神話伝説を伝えています。
岩波文庫から1953年に出てから、超ロングセラーを続けています。
訳は1948年のものですが、それゆえに味があり、目次と索引が充実しています。
ギリシアの神々や英雄たちのエピソードが、系譜にそって語られます。
そのため人名が大量に出てきて、物語の部分はあっさりとまとめられています。
「著者の目的は、言うまでもなく、古代の文学者にとって欠くべからざる予備知識
たるギリシアの神話や伝説を最も便利な形に要約した参考書を供するにある。」
と、まえがきに書いてあります。この著書は、参考書です。
資料としてきっちりしていますが、物語を楽しみたい方には期待外れになります。
たとえば・・・「五十七人が(オデュセウスの妻)ペーネロペーに求婚していた。
すなわち、アムピノモス、トアース、デーモプトレモス、アムピマコス、エウリュ
アロス、パラロス、エウエーノリデース、クリュティオス、アゲーノール・・・」
といった具合に、50人以上の名前がずらりと続きます。(読まないって)
このあとオデュセウスに射殺されるだけの人物を、几帳面に並べています。
そういう部分は、読み飛ばさなければなりません。そのためのコツがあります。
それは、「最初に目次を読む」というものです。
この本は目次が詳しい。目次を読むと、その章の主要な神々や人物が分かります。
そこで、主要な登場人物に絞って筋を追っていけば、頭の中が整理されます。
物語に慣れてくると色々な発見があります。「あの話がこの話につながるのか」
とか、「あの家系のあの人と、この家系のこの人が、こうつながるんだ」とか。
この本の作りは丁寧で、巻末に固有名詞索引が付いています。これも実に詳しい。
もう一度「ヘレネーだけ」「テーセウスだけ」たどる、という読み方ができます。
まえがきの日付は昭和23年です。どうしても、少し古さを感じてしまいます。
語り口は淡々としています。しかし、ギリシア神話に対する愛情が溢れています。
さて、神々の系譜を語る伝統は、ヘシオドスの「神統記」に始まります。
少しとっつきにくい感じがしますが、ぜひこの機会に読んでみたいです。
また、大学の授業で読んだオウィディウスの「変身物語」も、読み直したい。
ローマ帝政時代の影響を受けて大衆化し、面白おかしく語られています。
なんといっても、私にギリシア神話の面白さを教えてくれたのは、この本。
阿刀田高の「ギリシア神話を知っていますか」。初めて読む人にオススメ。
「ギリシア神話を知っていますか」
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-11-05
さいごに。(フォンダンショコラ)
時々ミニストップで、とても食べたくなるスイーツが売り出されます。
今売り出し中の「フォンダンショコラ」もそのひとつ。
先日の日曜日の夕食後、家族3人でミニストップに行って食べました。
ケーキの中からじゅわっと溶け出すチョコレートが、サイコーでした。