2016年2月発売の気になる文庫本
2016年1月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。 データは、出版社等のHPやメールマガジンを参考にしています。 ◎ 草思社文庫(2/5)から、次の1点。 ・「少年の日の思い出 ヘッセ青春小説集」 ヘルマン・ヘッセ → 昔教科書で読んだ作品が、文庫で登場。しかも新訳。買い。 ◎ ちくま文庫(2/9)から、次の1点。 ・「息子と恋人」 D.H.ロレンス →...
View Articleアポロドーロスのギリシア神話
「ギリシア神話」 アポロドーロス著 高津春繁訳 (岩波文庫) 古代ローマ時代に、系統的に簡潔にまとめられた、ギリシア神話の基本資料です。 ローマの影響を受けて変容してしまう前の、素朴な神話伝説を伝えています。 岩波文庫から1953年に出てから、超ロングセラーを続けています。 訳は1948年のものですが、それゆえに味があり、目次と索引が充実しています。 ギリシア神話 (岩波文庫)作者:...
View Article神統記
「神統記」 ヘシオドス作 廣川洋一訳 (岩波文庫) 神々の誕生から、ゼウスが統治権を獲得するまでを、系譜にそって歌った叙事詩です。 紀元前700年頃に、ヘシオドスがヘリコン山で、詩的霊感に打たれて作ったそうです。 岩波文庫から出ています。初版は1984年。比較的分かりやすい訳です。 丁寧に作られた本で、人名索引はもちろん、神々の詳しい系譜も掲載されています。 神統記 (岩波文庫 赤...
View Article名画の謎 ギリシャ神話篇
「名画の謎 ギリシア神話篇」 中野京子 ギリシア神話にまつわる名画を、軽快な口調で分かりやすく解説した著書です。 好評だった「怖い絵」シリーズに続く、名画解説のシリーズです。 「怖い絵」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19 昨年2015年に文庫化されました。オールカラーです。...
View Article夏の夜の夢
「夏の夜の夢」 シェイクスピア作 河合祥一郎訳 (角川文庫) アテネの森に踏み込んだ恋人たちと、妖精の王と女王をめぐる喜劇です。 シェイクスピアの初期の作品で、代表的な喜劇です。 角川文庫版は最も新しい訳で、韻を踏んでいます。 とても分かりやすかったです。 新訳 夏の夜の夢 (角川文庫)作者: シェイクスピア出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2013/10/25メディア: 文庫...
View Article仕事と日
「仕事と日」 ヘシオドス作 松平千秋訳 (岩波文庫) 怠惰で不実な弟に対して、勤労の大切さを教え、人生訓を述べた叙事詩です。 「神統記」と並ぶ、作者の代表作で、世界最初の農事暦が含まれています。 岩波文庫から出ています。「神統記」同様、丁寧に作られています。 「ホメーロスとヘーシオドスの歌競べ」が併録されていて、嬉しいです。 ヘーシオドス 仕事と日 (岩波文庫)作者:...
View Article下流志向
「下流志向」 内田樹 (講談社文庫) 進んで下流社会に身を投じようとする、若者の奇妙な行動の理由を解明した著作です。 副題は「学ばない子どもたち 働かない若者たち」。著者の代表作のひとつです。 2007年に単行本が出版されて話題になり、2009年には講談社文庫から出ました。 講演会で話した内容がもととなっているため、とても分かりやすく書かれています。 下流志向〈学ばない子どもたち...
View Article二十四の瞳
「二十四の瞳」 壺井栄 (角川文庫) 昭和の前半に、瀬戸内海の寒村に赴任した女先生と12人の生徒たちの物語です。 優れた反戦小説として有名で、映画やドラマになりました。 角川文庫や新潮文庫から出ています。私は角川文庫の2011年版で読みました。 てぬぐい柄のしゃれた表紙です。定価は324円と、昔ながらの良心的な価格。 二十四の瞳 (角川文庫)作者: 壺井 栄出版社/メーカー:...
View Articleアルジャーノンに花束を
「アルジャーノンに花束を」 キイス作 小尾芙佐訳 (ダニエル・キイス文庫) 知的障害を持つ青年が、手術によって天才になった後の、苦悩を描いた物語です。 何度か映画化された名作です。昨年TVドラマにアレンジされ話題になりました。 1999年にハヤカワ文庫から出ました。単行本は1989年に出ていました。 訳は分かりやすくて、活字も読みやすいです。...
View Article太陽の塔
「太陽の塔」 森見登美彦 (新潮文庫) 別れた彼女のことを研究し続けている、大学5回生で休学中の「私」の物語です。 作者が院生時代に書いたデビュー作であり、ファンタジーノベル大賞受賞作です。 新潮文庫から出ています。 カバーが作品の雰囲気をよく伝えています。 太陽の塔 (新潮文庫)作者: 森見 登美彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/06/01メディア: 文庫...
View Article2016年3月発売の気になる文庫本
2016年3月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。 データは、出版社等のHPやメールマガジンを参考にしています。 ◎ 文春文庫(3/10)から、次の2点。 ・「名画の謎 旧約・新約聖書篇」 中野京子 → ギリシア神話篇の姉妹作。待望の文庫化。迷わず買い。 ・「街場の文体論」 内田樹 → どうしても伝えたかったことが詰まった本。待望の文庫化。買い。 ◎...
View Article変身物語
「変身物語」 オウィディウス作 中村善也訳 (岩波文庫) 変身にまつわる出来事を軸にした、ギリシア・ローマ神話の集大成的作品です。 紀元8年頃に書かれ、後世の文学や美術に絶大な影響を与えた作品です。 岩波文庫から二分冊で出ていますが、HPに「在庫僅少」と表示されています。 初版は上巻が1981年、下巻が1984年。訳は意外に分かりやすかったです。 オウィディウス 変身物語〈上〉...
View Article号泣する準備はできていた
「号泣する準備はできていた」 江國香織 (新潮文庫) タイトル作ほか、恋に迷う不安定な心理を描いた全12編の短編集です。 恋愛小説のカリスマとも呼ばれる作者の、直木賞受賞作です。 現在、新潮文庫で読むことができます。 どの作品も20ページ前後で、とても読みやすいです。 号泣する準備はできていた (新潮文庫)作者: 江國 香織出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/06/28メディア:...
View Article少年たちの終わらない夜
「少年たちの終わらない夜」 鷺沢萠 (河出文庫) 私立高校3年生の男女が、青春時代最後の夏を、激しく駆け抜けてゆく物語です。 35歳で自殺した作者が、大学時代に書いた初期の名作です。 河出文庫で出ていましたが、現在は品切れです。アマゾンでは1円。 タイトル作ほか全4編を収めた短編集です。 少年たちの終わらない夜 (河出文庫―BUNGEI Collection)作者: 鷺沢...
View Article帰れぬ人びと
「帰れぬ人びと」 鷺沢萠 (文春文庫) タイトル作は、翻訳会社で働く二人の男女の、不思議な因縁を描いた物語です。 最初の芥川賞候補作「帰れぬ人びと」など、全4編を収めた初期の短編集です。 1992年に文春文庫から出ました。 しかし、現在は品切れ。アマゾンで1円です。 帰れぬ人びと (文春文庫)作者: 鷺沢 萠出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1992/10メディア: 文庫...
View Article流星ワゴン
「流星ワゴン」 重松清 (講談社文庫) 人生に絶望した父親が、不思議なワゴン車に乗せられ、人生を再体験する物語です。 2002年度「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作で、重松を代表する長編小説です。 2002年に単行本で出て、2005年に文庫化されました。 全27章。1章が20ページ足らずなので読みやすいです。 流星ワゴン (講談社文庫)作者: 重松 清出版社/メーカー: 講談社発売日:...
View Article八日目の蝉
「八日目の蝉」 角田光代 (中公文庫) 不倫相手の子を盗んだ女と、その女に育てられた子の、葛藤を描いた物語です。 読売新聞に連載された時から好評で、映画化された作品も評価が高かったです。 2011年に中公文庫から出ています。新聞連載されたのは2005年です。 希和子を中心とした1章と、恵理菜を中心とした2章で構成されています。 八日目の蝉 (中公文庫)作者: 角田 光代出版社/メーカー:...
View Articleさがしもの
「さがしもの」 角田光代 (新潮文庫) 名作「さがしもの」など、本にまつわる作品全9編を収録した短編集です。 作者が脂の乗り切った時期に書いた作品で、本好きにはたまらない本です。 新潮文庫から出ています。2015年の新潮文庫の100冊に入っていました。 「この本が、世界に存在することに」が、改題されて文庫になりました。 さがしもの (新潮文庫)作者: 角田 光代出版社/メーカー:...
View Article負け犬の遠吠え
「負け犬の遠吠え」 酒井順子 (講談社文庫) 負け犬を自覚する著者が、負け犬について言いたい放題言ったエッセイです。 2004年に負け犬ブームを巻き起こした、酒井順子の代表作です。 講談社文庫から出ています。カバーが秀逸です。 歯切れのよい文章のため、読んでいて楽しいです。 負け犬の遠吠え (講談社文庫)作者: 酒井 順子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/10/14メディア:...
View Article大転落
「大転落」 イーヴリン・ウォー作 富山太佳夫訳 (岩波文庫) 不運によって退学処分になった青年の、転落していく多難な人生の物語です。 ウォーのデビュー作で、20世紀イギリスを代表するユーモア小説です。 岩波文庫から出ていましたが、現在は品切れ。アマゾンで1円です。 初版は1991年。訳は分かりやすかったです。 大転落 (岩波文庫)作者: イーヴリン・ウォー出版社/メーカー:...
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