「仕事と日」 ヘシオドス作 松平千秋訳 (岩波文庫)
怠惰で不実な弟に対して、勤労の大切さを教え、人生訓を述べた叙事詩です。
「神統記」と並ぶ、作者の代表作で、世界最初の農事暦が含まれています。
岩波文庫から出ています。「神統記」同様、丁寧に作られています。
「ホメーロスとヘーシオドスの歌競べ」が併録されていて、嬉しいです。
作者の弟ペルセースは怠け者で、賄賂を使って兄の遺産を横取りしました。
ヘシオドスはペルセースに、真面目に働くことの大切さを教えますが・・・
「労働は決して恥ではない、働かぬことこそ恥なのだ。」
「不正な利得をあげてはならぬ、不正な利得は災厄(損)に等しい。」
このような訴えが、ダメな弟に響いたでしょうか?
一方、遺産を失ったヘシオドスは旅に出て、のちに詩人として大成しました。
ほかにも、「女を信用するような男は、詐欺師をも信用する。」(!)とか、
「陽に向かい、立ったままで放尿してはならぬ。」とか、ヘンな訓戒もある。
「相手が先に、気に障ることをいい、あるいはする場合には、きっと覚えて
おいて、二倍にして返してやれ。」(倍返し?)というのもあって笑えました。
内容は、兄から弟へのお説教を基本としていますが、意外と面白かったです。
ただし、流れがつかみにくいので、先に解説を読んだ方がいいです。
「仕事と日」には、ヘシオドスの 自伝的な部分も含まれています。
例えば、歌競べで勝ち、三脚釜を手に入れて、ヘリコン山に奉納したとか。
歌競べの模様は、「ホメーロスとヘーシオドスの歌競べ」に描かれています。
著者は未詳で、内容の信憑性が疑われますが、実に興味深い短編です。
特に、結末のパネーデース王の判定は、とてもとても不自然です。
最初から最後までホメロスが優位なのに、どうしてヘロドトスが勝つのか。
しかし、これはまさに、そのドンデン返しを楽しむべきなのでしょう。
結末を知りつつも、ホメロス有利の展開に、首を傾げながら読む面白さ!
気の利いた言葉は、たいていホメロスが言っています。
「死すべき人間には何がもっとも良いことか。」の 問いに、彼の答えは・・・
さて、「仕事と日」を読んでいて、内田樹の「下流志向」を思い出しました。
この本の後半では、「労働からの逃走」が取り上げていたので。

下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫)
- 作者: 内田 樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/07/15
- メディア: 文庫
さいごに。(歓迎!ディズニーランド値上げ)
6400円でも高いと思っていました。昨年6900円になり、今度7400円になります。
「本当に来たい人だけおいで」という、メッセージなのでしょうか。
おかげさまで、妻から「次もパパは行かなくていいよ」と言ってもらえました。
これは、毎度いやいや付き合わされているお父さんを、解放する契機となるかも。