「ナラ王物語 ダマヤンティー姫の数奇な生涯」 鎧淳(よろいじゅん)訳
ナラ王の妃ダマヤンティー姫が、知恵と純愛によって苦難を乗り越える物語です。
古代インド叙事詩「マハーバーラタ」に挿入されたエピソードのうちの一つです。
岩波文庫から出ています。長らく絶版でしたが、2016年2月に復刊しました。
訳は分かりやすかったです。書店で簡単に手に入る今が、購入のチャンスです。

マハーバーラタ ナラ王物語―ダマヤンティー姫の数奇な生涯 (岩波文庫)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1989/11/16
- メディア: 文庫
ヴィダルバ国の絶世の美女ダマヤンティー姫の、婿選びの式が行われました。
主要な神々を差し置いて選ばれたのは、ニシァダ国の眉目秀麗なナラ王でした。
ところが、婿選びの式に間に合わなかったカリ魔王が、ナラ王を恨んで・・・
二人の結婚十二年目に、カリ魔王がナラ王に取り憑いて・・・
中編小説ほどあるこの物語は、インド叙事詩「マハーバーラタ」の一挿話です。
では、「マハーバーラタ」がどのくらいあるか? およそ聖書の4倍だという!
そんな長いものは、とても読めません。全訳は退職後の楽しみにします。
今は、「ナラ王物語」のような、部分訳の作品を読むだけで我慢します。
「ナラ王物語」は確かに一挿話ですが、当時の雰囲気がよく伝わってきます。
小便のあと手と口をすすいだのに、足を洗わなかったから取り憑かれたとか。
意外だったのは、ナラ王が取り憑かれる前から、だらしがなかったことです。
神々のパシリみたいなことをして、姫に神々との結婚を勧めちゃったりする。
それに反して、ダマヤンティー姫はとても強く、神々にさえ負けません。
活躍するのは姫の方です。だから副題は「ダマヤンティー姫の数奇な生涯」。
さて、「マハーバーラタ」の挿話で有名なのは「バガヴァッド・ギーター」。
世界に誇る聖典です。これは読まなければいけません。
「バガヴァッド・ギーターの世界」「インド神話」などの解説本も読みたい。
どちらも古代インド文学研究者の上村勝彦の著作で、評判がいいようです。

バガヴァッド・ギーターの世界―ヒンドゥー教の救済 (ちくま学芸文庫)
- 作者: 上村 勝彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/07
- メディア: 文庫
さいごに。(先生ダウン)
娘のクラスの先生は、熱が下がらなくて、今週も休んでいます。
運動会の日にすでに体調が悪かったとのこと。ご高齢の先生なので心配です。