ピランデッロ短篇集
「月を見つけたチャウラ ピランデッロ短篇集」 ピランデッロ作 関口英子訳 (古典新訳文庫) おかしいのにどこか悲しく、死と狂気をひしひしと感じさせる短篇集です。 作者はイタリア人劇作家で、1934年にノーベル文学賞を受賞しました。 光文社古典新訳文庫から2012年に出ています。 200篇以上の短編から15編が選ばれています。訳は分かりやすかったです。...
View Article2016年6月発売の気になる文庫本
2016年6月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。 データは、出版社等のHPやメールマガジンを参考にしています。 ◎ 小学館文庫(6/7)から、次の1点。 ・「銀座のカラス(上)(下)」 椎名誠 → 以前新潮文庫で出ていたが絶版。小学館から待望の復刊。気になる。 ◎ 文春文庫(6/10)から、次の1点。 ・「ジャングル・ブック」 ラドヤード・キプリング →...
View Articleメディア
「ギリシア悲劇Ⅲ エウリピデス上」(ちくま文庫) 「メディア」は、イアソンに裏切られたメディアの復讐を描いています。 紀元前431年、作者に脂が乗ってきた時期に上演された悲劇です。 ちくま文庫「ギリシア悲劇Ⅲ」には、全10編が収録されています。 訳は1965年で古いですが、最初に簡単な解説があり読みやすいです。 ギリシア悲劇〈3〉エウリピデス〈上〉 (ちくま文庫)作者:...
View Articleトロイアの女
「ギリシア悲劇Ⅲ エウリピデス上」(ちくま文庫) 「トロイアの女」は、トロイア陥落後に残されたトロイアの女たちの悲劇です。 ギリシアに対する批判的な言辞が見られるところが特徴です。 ちくま文庫「ギリシア悲劇Ⅲ エウリピデス上」に収録されています。 訳は、1965年刊行の「世界古典文学全集9」のものです。 ギリシア悲劇〈3〉エウリピデス〈上〉 (ちくま文庫)作者:...
View Articleギリシア・ローマ抒情詩選
「ギリシア・ローマ抒情詩選」 呉茂一(くれしげいち)訳 (岩波文庫) サッポー、ホラティウスなど、主にギリシア・ローマの抒情詩人の作品集です。 古代エジプトの詩や中世の詩も含んでいます。 岩波文庫から出ていましたが現在は絶版。私は1991年版を十年ほど前に購入。 訳は古語が使われ、少しとっつきにくいのですが、たいへん美しい文章です。 ギリシア・ローマ抒情詩選―花冠 (岩波文庫)作者:...
View Articleアウリスのイピゲネイア タウリケのイピゲネイア
「ギリシア悲劇Ⅳ エウリピデス(下)」 (ちくま文庫) 父アガメムノンの手で生贄にされかかった、イピゲネイアを主人公にした悲劇です。 「アウリス」で殺されかかった彼女は、女神に救われ「タウリケ」に送られました。 二つのイピゲネイアは、ちくま文庫「ギリシア悲劇Ⅳ」で読むことができます。 どちらも呉茂一訳で、少しとっつきにくい文章です。 ギリシア悲劇〈4〉/エウリピデス〈下〉...
View Articleエレクトラ オレステス
「ギリシア悲劇Ⅳ エウリピデス(下)」 (ちくま文庫) 「エレクトラ」は、エレクトラと弟オレステスが、父殺しの母に復讐する物語です。 「オレステス」は、オレステスと姉エレクトラが、母殺しの罪を裁かれる物語です。 どちらも「ギリシア悲劇Ⅳ エウリピデス(下)」に収録されています。 訳は古いのですが、これらの作品が文庫で読めるということに喜びを感じます。 ギリシア悲劇〈4〉/エウリピデス〈下〉...
View Articleナラ王物語
「ナラ王物語 ダマヤンティー姫の数奇な生涯」 鎧淳(よろいじゅん)訳 ナラ王の妃ダマヤンティー姫が、知恵と純愛によって苦難を乗り越える物語です。 古代インド叙事詩「マハーバーラタ」に挿入されたエピソードのうちの一つです。 岩波文庫から出ています。長らく絶版でしたが、2016年2月に復刊しました。 訳は分かりやすかったです。書店で簡単に手に入る今が、購入のチャンスです。 マハーバーラタ...
View Article海の鳥・空の魚
「海の鳥・空の魚」 鷺沢萠 (角川文庫) 海の鳥や空の魚のように、居心地の悪さを感じる人々を主人公にした短編集です。 1987年から1989年にかけて、月間カドカワに掲載された20の作品群です。 角川文庫から出ていましたが、現在は絶版です。アマゾンでは1円です。 高校の教科書掲載の「指」も収録されているので、ぜひ復刊してほしい本です。 海の鳥・空の魚 角川文庫出版社/メーカー:...
View Article色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」 村上春樹 (文春文庫) 理由も告げられず絶縁された青年が、16年ぶりに仲間たちに会いに行く物語です。 村上春樹の13作目の長編小説で、2013年に話題となったベストセラー小説です。 2015年12月に、文春文庫から出ました。カバーイラストがおしゃれです。 「来月発売の気になる文庫本」で取り上げるのを、なぜか忘れていました。...
View Article約束(石田衣良)
「約束」 石田衣良 (小学館) 人生を切り開こうとする人々を描いた作品を、全8編収めた短編集です。 直木賞受賞の翌年2004年、脂が乗り切った時期に発表した作品です。 角川文庫から出ている本は7編収録です。 小学館文庫から出ている本は8編収録です。 約束 (角川文庫)作者: 石田 衣良出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2007/06メディア: 文庫 約束 (小学館文庫)作者: 石田...
View Article2016年7月発売の気になる文庫本
2016年7月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。 データは、出版社等のHPやメールマガジンを参考にしています。 ◎ 新潮文庫(7/1)から、次の1点。 ・「村上海賊の娘(1)(2)」 和田竜 → 2014年の本屋大賞にもなったベストセラー小説。気になる。 村上海賊の娘(一) (新潮文庫)作者: 和田 竜出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/06/28メディア: 文庫...
View Article青べか物語
「青べか物語」 山本周五郎 (新潮文庫) 漁師町浦粕(うらかす)に住みついた主人公の視点で、人々の生活を描いた作品です。 作者が若い頃、浦安に滞在したときのことをもとに描いています。代表作の一つです。 新潮文庫から出ています。カバーイラストがなかなかいい味を出しています。 私は20年ほど前に読みました。久しぶりに、パラパラと流し読みしました。 青べか物語 (新潮文庫)作者: 山本...
View Article秘書綺譚
「秘書綺譚 ブラックウッド幻想怪奇傑作集」 南條竹則訳 (光文社古典新訳文庫) 幽霊屋敷、狼男、小鬼、吸血鬼、魔術等、様々な怪奇現象を扱った小説集です。 作者ブラックウッドは、20世紀初頭に活躍した、英国の怪奇幻想小説家です。 文庫本で読めるブラックウッドの作品集は、現在はこの1冊だけのようです。 200編以上の短編から11編の秀作が収録されています。訳は分かりやすいです。...
View Article歴史(ヘロドトス)
「歴史」 ヘロドトス著 松平千秋訳 (岩波文庫) 前5世紀のペルシア戦争を中心に、地理や伝説や風俗なども描いた歴史書です。 本書を記したヘロドトスは、「歴史の父」と言われています。 岩波文庫から全訳が出ています。初版は1971年ですが、訳は分かりやすいです。 私の手元にある上巻は1995年第33刷で720円でした。現在は1296円です。 歴史 上 (岩波文庫 青 405-1)作者:...
View Articleバガヴァッド・ギーター
「バガヴァッド・ギーター」 上村(かみむら)勝彦訳 (岩波文庫) 勇者アルジュナに、最高神の化身クリシュナが、様々な教えを説く物語です。 「マハーラーバタ」の一部であり、ヒンドゥー教の最も重要な聖典です。 岩波文庫から出ています。訳は比較的新しくて、分かりやすいです。 内容が難解なので、訳者の解説本などを同時に読むことをオススメします。 バガヴァッド・ギーター (岩波文庫)作者:...
View Articleドクトル・ジバゴ1
「ドクトル・ジバゴ(上)」 パステルナーク作 江川卓訳 (新潮文庫) 革命期の混乱したロシアを舞台に、医師ジバゴとラーラの運命を描いた物語です。 ソ連で発禁処分となりましたが、国際的に評価されてノーベル賞を受賞しました。 新潮文庫から上下二分冊で出ていました。現在は品切れで、古本は高値です。 訳者は江川卓。とても分かりやすく訳されています。また、カバーがカッコいい。...
View Article夜のピクニック
「夜のピクニック」 恩田陸 (新潮文庫) 夜を徹して歩きぬく歩行祭を通して、高校生の特別な一昼夜を描いた青春小説です。 2004年の第2回本屋大賞に選ばれた傑作です。新潮文庫から出ています。 夜のピクニック (新潮文庫)作者: 恩田 陸出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/09/07メディア: 文庫 北高の伝統行事「歩行祭」は、24時間ひたすら歩き続けるというものです。...
View Article羊をめぐる冒険
「羊をめぐる冒険」 村上春樹 (講談社文庫) 29歳の「僕」がガールフレンドと一緒に、謎の羊を探し求める冒険物語です。 「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」に続く三部作の完結編です。 「風の歌を聴け」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06 「1973年のピンボール」→...
View Articleインド神話
「インド神話」 上村(かみむら)勝彦 (ちくま学芸文庫) 古代の叙事詩に出てくる神々を中心に、インド神話を体系的に解説した著書です。 著者の上村は、「マハーバーラタ」の原典訳に挑みました。(未完) ちくま学芸文庫から出ています。1981年に東京書籍から出た本の再刊です。 所々に図版があり、巻末には詳細な神名・人名索引と事項索引が付いています。 インド神話―マハーバーラタの神々...
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