「インド神話」 上村(かみむら)勝彦 (ちくま学芸文庫)
古代の叙事詩に出てくる神々を中心に、インド神話を体系的に解説した著書です。
著者の上村は、「マハーバーラタ」の原典訳に挑みました。(未完)
ちくま学芸文庫から出ています。1981年に東京書籍から出た本の再刊です。
所々に図版があり、巻末には詳細な神名・人名索引と事項索引が付いています。
ヴィシュヌ、シヴァ、ブラフマー、インドラ、カーマ、ガルダ、ヴリトラ、
アガスティヤ仙、ヴィシュヴァーミトラ王、様々な天女、多くの阿修羅たち・・・
乳海攪拌と天地創造、甘露の争奪、インドラの金剛杵、海を飲み干す仙人、
シャクンタラーの物語、天女の誘惑、ヴィシュヌの十化身、クリシュナ神話・・・
インドの複雑な神話を、体系的に分かりやすく整理し、紹介した著書です。
所々に写真が収録されているので、その雰囲気をつかみやすいです。
とはいえ、私は後半になってくると、頭が混乱してきました。
似たような神名や人名や地名が、次から次に容赦なく出てくるので。
アイラーヴァタ、アウルヴァ、アガスティア、アグニ、アクーパーラ、
アクルーラ、アサマンジャス、アシュヴィン・・・全く覚えられません。
それでも、短い章で区切られているため、なんとか最後まで読み終えました。
「シャクンタラー」など、有名な物語を知ることができて良かったです。
また、面白かったのは、美女を使って相手を堕落させる展開が多いことです。
時には神が、娘を派遣して仙人を誘惑するように言ったりします。ひどい。
女性を知らなかった仙人は、女陰を見ると傷だと思い、その傷を癒そうとして
彼女と交わり・・・アホか。しかし、こういう話が昔も好まれたのでしょう。
ギリシア・ローマのものと比べ、インドの叙事詩は大らかでどこか滑稽です。
神々が時々カッコ悪いです。特にインドラは意外と小物で笑えます。
さて、この本は「マハーバーラタ」の入門書兼インド神話事典として使えます。
とはいえ、今後「マハーバーラタ」を読むことは、当分無いと思うのですが。
「簡約マハーバーラタ」という本を、どこかで出してもらえないでしょうか。
あるいは、「マハーバーラタを知っていますか」みたいな本を、期待します。
さいごに。(寝たのは11時)
小学校の海洋自然教室は、カヌーなどにも乗れて、とても楽しかったようです。
ところで、娘たちの班が寝たのは、なんと11時になってからだそうです。
夜、怖い本を読んでいた子が、怖くなって泣いてしまい、大変だったとのこと。
その日は皆寝不足で、家に帰った時の娘は、もうふらふらだったようです。