「シャクンタラー姫」 カーリダーサ作 辻直四郎訳 (岩波文庫)
天女の娘シャクンタラーと、ドゥフシャンタ王との、数奇な恋を描いた戯曲です。
インド叙事詩「マハーバーラタ」の一挿話を、カーリダーサがアレンジしました。
岩波文庫から出ています。初版は1977年ですが、1956年のものの改訳です。
文章が古めかしくて、分かりにくかったです。新訳を期待したいです。
ドゥフシャンタ王は狩りの途中で、カンヴァ仙の養女シャクンタラーに出会いました。
お互いに一目ぼれした二人は結ばれて、王は思い出のしるしに指輪を贈りました。
やがてシャクンタラーは子を宿し、養父カンヴァ仙は喜びます。
しかし、いつまで待っても、王からの迎えが来なくて・・・
作者のカーリダーサは、4世紀にインドのグプタ朝で活躍したと伝えられます。
サンスクリット文学において、最も偉大な劇作家であると言われています。
そして、カーリダーサと言えば「シャクンタラー」と言われるほど、有名な作品です。
一度は読んでおきたい戯曲だと思い、このたび初めて手に取ってみました。
さて、正直に言うと、天女の娘であるシャクンタラーの魅力が、全く分かりません。
大事な指輪を失くし、しかも失くしたことに気付きもしなかった。バカではないか?
シャクンタラーがつまらない女なので、王もまたつまらない男に見えてしまいます。
シャクンタラーと王が、困難を自力で打開していく展開だったら良かったと思います。
ところで、この本の訳は古く、文章が古めかしいので、分かりにくい部分があります。
特に、王の言葉はしばしば古文調の歌になるので、その部分がよく理解できない。
「君が身の 重さにくぼむ 花しとね 石の上にあり、蓮の葉に 爪もて彫りし
なつかしの 恋の玉章・・・」(P79) これは、万葉集か?
というわけで、この作品は読む価値ありと認めた上で、読むことは勧めません。
この訳ではオススメできません。マニアックな本です。新訳が出たら読み直したい。
さいごに。(システム手帳完成)
レザークラフト講座で作ってきたシステム手帳が、ようやく完成しました。
縫い目や細かい処理に、多くの難がありますが、世界に一つだけのオリジナルです。

外から見るととことん渋い黒。取っ手が付いている。

中は渋めの赤。筆記具入れが付いている。