「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」 村上春樹 (文春文庫)
理由も告げられず絶縁された青年が、16年ぶりに仲間たちに会いに行く物語です。
村上春樹の13作目の長編小説で、2013年に話題となったベストセラー小説です。
2015年12月に、文春文庫から出ました。カバーイラストがおしゃれです。
「来月発売の気になる文庫本」で取り上げるのを、なぜか忘れていました。
多崎つくると、アカ、アオ、クロ、シロは、かつて完璧な調和を保っていました。
男3人、女2人のこの仲間は、お互いがお互いを必要として結びついていました。
ところが多崎つくるは、大学2年の時、突然4人から一方的に絶縁されたのです。
なぜこんなことがあったのか? いったい何があったのか?
ショックのあまりその理由さえ聞き出せず、つくるは死の淵をさまよいました。
それから16年が過ぎて、36歳になったつくるは、駅を作る仕事についていました。
そして恋人の沙羅のすすめで、つくるはかつての仲間を訪れる決心をしました。
これまでの封印を解いて、つくるの巡礼が始まりました・・・
深夜の書店に行列ができたり、全米1位に輝いたり、関係のCDが売り切れたり。
何かと話題になった作品ですが、私は文庫化されるのを待ってようやく読みました。
もちろん、すばらしい作品だと思います。文体もいいし、ストーリーも面白い。
しかし、読み終わった後に、たくさん謎が残されて、スッキリしないのです。
特に、灰田青年。彼は何だったのでしょう? あっけなく消えてしまって。
彼の話す灰田の父の話は、物語の重要な要素だと思っていたのですが・・・
シロの事件の謎や、つくるの受難の謎が、灰田の再登場によって、いっきに解決さ
れるのではないかと、想像しながら読んでいたので、肩透かしを食った気分です。
灰田については疑問を持った人が多く、ネット上でも色々とコメントされています。
しかし、私はぜひ作者に、灰田を主人公にした番外編を書いてほしいです。
アマゾンのレビューで★1つが多いのも、解釈がはっきりしないからだと思います。
既にいくつかの解説本が出ていますが、やはり村上春樹自身の解釈を知りたいです。
ところで、この物語を読んで、初めてリストの「巡礼の年」を聞きました。
ラザール・ベルマンの演奏は、すばらしかったです。間違いなく名盤だと思います。
さいごに。(おしりペンごっこ)
おしりペンごっことは、相手のお尻を先に10回たたいた方が勝ちという遊びです。
娘が小さい時に、うちでよくおこなった遊びです。
さて、10歳になった娘と、久しぶりにやってみたら、お尻が痛い痛い。
こちらは手加減してたたくのに、娘は思いっきりひっぱたくのでとても痛いです。