「夏から夏へ」 佐藤多佳子 (集英社文庫)
陸上男子4×100mリレーの、メダル獲得への挑戦を描いたノンフィクションです。
2007年の世界陸上大阪大会から、翌夏の北京五輪直前までが書かれています。
集英社文庫から出ています。
単行本は北京五輪直前に出され、高校生への推薦図書にもなりました。
2007年、世界陸上大阪大会では、男子4継に注目が集まっていました。
1走塚原、2走末續、3走高平、4走朝原。当時最強と言われたメンバーです。
その予選で、38秒21のアジア記録を更新し、決勝進出を決めていました。
そして決勝では、38秒03で再度アジア記録を更新し、4位に食い込みました。
このときから、翌年の北京五輪でメダルを獲得するための挑戦が始まります。
インタビューなどを織り交ぜながら、4人の五輪直前までを描いています。
この4人が実際に、北京五輪で銅メダルに輝いた瞬間は、忘れられません。
私は興奮しながら、録画した映像を何度も何度も見返しました。
あれからもう8年がたったのですね。
リオ五輪の陸上競技にワクワクしながら、今「夏から夏へ」を読んでいます。
4人は全く違う個性でありながら、不思議なほどぴたっと噛み合っています。
そして、本当に仲がいい。このチームワークが、4人の最大の武器でしょう。
エネルギーではちきれそうなほどマッチョで、元気で闘志あふれる塚原。
気さくで天真爛漫でとても陽気なのだが、実は苦労人でとても繊細な末續。
物事を誰よりも客観的に見極め、決してミスをしないクールで痩身の高平。
新時代を一人で開拓してきた、頼もしくも優しいお父さん的な存在の朝原。
丁寧な取材の中で、彼らの生の声が聞こえてくるところがとても嬉しいです。
また、ある意味最も偉い小島について、しっかり書かれていて良かったです。
さて、2016年リオ五輪の男子リレーは、予選が18日、決勝が20日。
メンバーはまだ分かりませんが、おそらく歴代最速でしょう。
「日本のバトンは、ただつなぐだけでなく、前後の走者をより速く走らせること
ができる創造的なパスだ。」(P109) 日本の芸術的なバトンパスを見たい。
さいごに。(今年も東京出張)
今年も8月のお盆は東京出張と仕事で、男子100mのライブ放送は断念しました。
家に帰ってから録画を見て、世間とは少し遅れて、選手の活躍に感動しています。
100m決勝、ボルトとガトリンの名勝負。ボルトの追い上げは神ワザでした。
400m決勝、世界記録で制したバンニーキルク。その走りは感動的でした。