「マイナス・ゼロ」 広瀬正 (集英社)
昭和を舞台に、タイムマシンとタイムパラドックスを扱ったSF長編小説です。
広瀬正の代表作で名作中の名作です。日本のタイムトラベル小説の金字塔です。
長い間、入手困難な本でしたが、2008年に改定新版が出ました。
2008年本屋大賞の「この文庫を復刊せよ!」で、1位の票を得たためです。
昭和20年に浜田俊夫少年は東京空襲に遭い、隣家の伊沢邸は爆弾でやられました。
「18年後の今日、ここに来てほしい」伊沢は俊夫にそう言い残して絶命しました。
18年後、32歳の俊夫が旧伊沢邸を訪れると、そこに不思議な球体がありました。
そして突然、18年間行方不明だった教授の娘の啓子が、当時の姿で現れたのです。
この球体は、もちろんタイムマシン。俊夫はすぐに確信しました。
二人はこのタイムマシンを使って、昭和9年に戻ろうとしますが・・・
先が気になって気になって、ぐいぐい読み進みました。
先へ行けば行くほど、時間を超えて様々な事件が絡まり合い、頭が混乱しました。
しかし、最後は驚きの真相によって、すべてがすっきりと解決されます。
それにしても、ここで扱うタイムパラドックスは、あまりにも不可思議です。
啓子の母は、〇〇で・・・啓子の娘は、〇〇で・・・(!)
この小説の熱狂的なファンがいるというのも、よく分かります。
ところで、私が広瀬正の「タイムマシンのつくり方」を読んだのは1996年でした。
タイムトラベルものばかりの、ショートショート集で、とても面白かったです。
次に代表作「マイナス・ゼロ」を読もうと思ったら、もう店頭から消えていました。
その後、2008年に復刊されるまで、私はこの本と出合えなかったのでした。
だから私は、「タイムマシンのつくり方」は旧版で、本書は新版で持っています。
現在は、広瀬正小説全集(全6巻)が、文庫本で手に入ります。嬉しいです。
タイムトラベルもので、多くのファンを持つのが、ハイラインの「夏への扉」です。
「夏への扉」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-06-01
さいごに。(ラスコーとコラボ)
人気ドラマ「逃げ恥」第10回が、国立科学博物館「ラスコー展」とコラボしました。
来週末に家族3人で行く予定ですが、とても混みそうです。やれやれ。