「トリスタン・イズー物語」 ベディエ作 佐藤輝夫訳 (岩波文庫)
愛の媚薬によって激しい恋に落ちた、王の甥トリスタンと王妃イズーの悲劇です。
ケルト神話のトリスタン伝説を、フランスのベディエが編集したものです。
現在、岩波文庫で読むことができます。
初版は1953年ですが、訳は易しくて、読みやすいです。
王と結婚するはずの、黄金の髪の美女を求めて、王の甥トリスタンは船出しました。
アイルランドで毒竜を倒したトリスタンは、黄金の髪の王女イズーを手に入れました。
イズーを連れて自国に向かう船中で、二人は誤って、愛の媚薬を飲んでしまいました。
途端に恍惚となり、激しく愛し合うようになったトリスタンとイズー。
もちろん、それは禁断の恋。王に対する反逆です。
しかし、二人の恋は燃え上がり、とどまることを知りません。
密会、陰謀、追放、放浪、友情、そして、死…
劇的な展開。読んでいてまったく飽きません。
「トリスタンとイズー」といったら、連想するのは「愛の媚薬」でしょう。
しかし、読み返してみると、「愛の媚薬」は、単なるひとつのきっかけにすぎなかった。
媚薬を飲む前から、二人は惹かれ合っていたのです。
媚薬を飲まなくても、いずれ二人は、禁断の愛にのめりこんでいったでしょう。
さて、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」は、この伝説を題材にしています。
当時のワーグナーの事情を思い浮かべると、実に興味深い。

ロオエングリイン・トリスタンとイゾルデ (岩波文庫 赤421-1)
- 作者: ワアグナア
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1953/12/25
- メディア: 単行本
ワーグナーは、自分を支援してくれた親友を裏切り、その妻と交渉を持ちました。
親友の妻というのが、作曲家リストの娘コジマ。
のちに二人の間には、女の子が生れて、「イゾルデ」と名付けられました。
二人が結婚したのは、それよりのち、ワーグナーの妻が病死したあとでした。
「トリスタンとイゾルデ」は、愛の賛歌だと言われることがあります。
社会的な通念よりも愛を優先させた、ワーグナーの思いが伝わってきます。
ところでトリスタンは、アーサー王の円卓の騎士のひとりだそうです。
ブルフィンチの「中世騎士物語」も、この機会に読んでみたいです。
さいごに。(小学1年生)
娘が小学校に入りました。
6時に朝食を食べて、7時に家を出ています。
近所の3年生のお姉さんが、家まで迎えに来てくれるので安心です。
登校初日は、出発する娘の元気な姿を、写真におさめました。