「夢小説・闇への逃走」 シュニッツラー作 池内紀・武村知子訳 (岩波文庫)
「夢小説」は、夜のウィーンで、現実と夢のはざまに迷い込んいく男の物語です。
シュニッツラーの後期の作品で、20世紀に入ってからのものです。
現在、岩波文庫から出ています。
活字は読みやすく、訳は分りやすいです。
医師フリドリンは、ある夜カフェで久々に、旧友のピアニストに出会いました。
彼から聞いた秘密の舞踏会に興味を持ち、フリドリンは忍び込むことにしました。
それは、秘密結社か、秘密の教団の集会か、それとも狂人の集まりか?
後ろから、「ここにいらしてはだめ」という、女の声…
ワクワクする展開です。
と同時に、もやもやする展開でもあります。
これは現実なのか、それとも夢なのか。
最後まで、夢の中をさまよっているような感じでした。
同時収録の「闇への逃走」も、ワクワクもやもやの展開です。
自分はひょっとしたら、あの女を殺していたのではないか?
妄想が妄想を呼び、そしてすべては闇の中へ…
冒頭の作品「死んだガブリエル」は、小品ながら印象的な作品です。
途中で、「おっ、そういう人間関係だったのか!」と、驚きました。
この本の中の、マイベストです。
さて、「夢小説」は、 大ヒットした「アイズ・ワイド・シャット」の原作です。
残念ながら、私はまだ見ていません。
しかし、キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」なら、何度も見ました。
アーサー・C・クラークの小説も、素晴らしいです。
さいごに。(エルマー)
娘に、「エルマーのぼうけん」シリーズを、読んで聞かせました。
なかなか好評でした。面白いし、文章にも味わいがあります。