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シュニッツラー短編集

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 「花・死人に口なし」 シュニッツラー作 番匠谷英一・山本有三訳 (岩波文庫)


 愛と死を描いたシュニッツラーの、前期に書かれた代表的短篇を集めたものです。
 「花」「わかれ」「死人に口なし」など、どれも忘れられない作品ばかりです。

 2011年に、岩波文庫から出ましたが、新訳ではありません。
 底本は1940年頃の訳。しかし、新訳かと思うほど読みやすかったです。


花・死人に口なし 他7篇 (岩波文庫)

花・死人に口なし 他7篇 (岩波文庫)

  • 作者: シュニッツラー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/07/16
  • メディア: 文庫



 冒頭の「花」は、わずか18ページ。
 しかし、とても魅力的で、印象に残る作品です。

 「私」は、昔の恋人が、1週間前に亡くなったことを知りました。
 しかしその後、彼女から花が届けられたのです。

 おそらく生前に、花屋に注文しておいたのでしょう。
 しかし、死んだ彼女から送られたような錯覚に、とらわれてしまいます。

 その花たちは、死人となった彼女の言葉を語り…
 そして、私の部屋には、彼女の幽霊の気配が…

 さすが、愛と死を描いたシュニッツラー。
 ドイツ文学っぽくありません。

 彼は、世紀末ウィーン文化のもとで、フランス文化の影響を強く受けていました。
 そして、「オーストリアのモーパッサン」とも、呼ばれていたようです。

 「花」に続く、「わかれ」「死人に口なし」も、すばらしい作品です。
 どちらも、突然死んだ愛人が、生きている人間に、影響を与え続ける物語です。

 ほかにも、「盲目のジェロニモとその兄」なども、忘れがたい作品です。
 全9作が、読むべき価値を持っています。

 その中でも、マイ・ベストは、「レデゴンダの日記」です。
 友人がどこからともなくふわりと現れて、決闘に至った真相を語り出しますが…
 結末ではアッと言わせます。

 シュニッツラーの作品は、ほかにも「夢小説・闇への逃走」が出ています。
 「夢小説」は、キューブリック監督の遺作「アイズ・ワイド・シャット」の原作です。


夢小説・闇への逃走 他一篇 (岩波文庫)

夢小説・闇への逃走 他一篇 (岩波文庫)

  • 作者: シュニッツラー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1990/11/16
  • メディア: 文庫



 さいごに。(給食当番)

 娘は小学校で、初めて経験することが、たくさんあります
 たとえば、給食当番。

 先週は、花形であるカレー係をやって、とても喜んでいました。
 週末に持ち帰った白衣には、カレーがついていました。

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