「花・死人に口なし」 シュニッツラー作 番匠谷英一・山本有三訳 (岩波文庫)
愛と死を描いたシュニッツラーの、前期に書かれた代表的短篇を集めたものです。
「花」「わかれ」「死人に口なし」など、どれも忘れられない作品ばかりです。
2011年に、岩波文庫から出ましたが、新訳ではありません。
底本は1940年頃の訳。しかし、新訳かと思うほど読みやすかったです。
冒頭の「花」は、わずか18ページ。
しかし、とても魅力的で、印象に残る作品です。
「私」は、昔の恋人が、1週間前に亡くなったことを知りました。
しかしその後、彼女から花が届けられたのです。
おそらく生前に、花屋に注文しておいたのでしょう。
しかし、死んだ彼女から送られたような錯覚に、とらわれてしまいます。
その花たちは、死人となった彼女の言葉を語り…
そして、私の部屋には、彼女の幽霊の気配が…
さすが、愛と死を描いたシュニッツラー。
ドイツ文学っぽくありません。
彼は、世紀末ウィーン文化のもとで、フランス文化の影響を強く受けていました。
そして、「オーストリアのモーパッサン」とも、呼ばれていたようです。
「花」に続く、「わかれ」「死人に口なし」も、すばらしい作品です。
どちらも、突然死んだ愛人が、生きている人間に、影響を与え続ける物語です。
ほかにも、「盲目のジェロニモとその兄」なども、忘れがたい作品です。
全9作が、読むべき価値を持っています。
その中でも、マイ・ベストは、「レデゴンダの日記」です。
友人がどこからともなくふわりと現れて、決闘に至った真相を語り出しますが…
結末ではアッと言わせます。
シュニッツラーの作品は、ほかにも「夢小説・闇への逃走」が出ています。
「夢小説」は、キューブリック監督の遺作「アイズ・ワイド・シャット」の原作です。
さいごに。(給食当番)
娘は小学校で、初めて経験することが、たくさんあります
たとえば、給食当番。
先週は、花形であるカレー係をやって、とても喜んでいました。
週末に持ち帰った白衣には、カレーがついていました。