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Channel: 文庫で読む文学全集
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飛ぶ教室

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 「飛ぶ教室」 ケストナー作 丘沢静也訳 (光文社古典新訳文庫)


 ギムナジウムの寄宿舎を舞台に、少年たちと人びととの交流を描いた小説です。
 世界中で愛されている、児童文学の傑作です。

 古典新訳文庫と講談社文庫から出ています。どちらもオススメです。
 私が読んだ古典新訳文庫版は、とても明快な訳でした。(でも、カバーが・・・)


飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ケストナー
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/09/07
  • メディア: 文庫



飛ぶ教室 (講談社文庫)

飛ぶ教室 (講談社文庫)

  • 作者: エーリッヒ ケストナー
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2003/12/10
  • メディア: 文庫



 ファンタジーではありません。ギムナジウムを舞台にした物語です。
 私は、「空飛ぶじゅうたん」のような物語だとばかり思っていました。

 成績1番のマルティン、ボクサー志望のマティアス、臆病なウーリ、
 読書家のセバスティアン、両親から捨てられたジョニー。

 物語の中心は、これら5人の少年たちです。
 ギムナジウムの5年生。年は、10代の半ばでしょうか。

 しかし、大人こそ、この物語を読むべきです。
 自分が忘れていた大切な何かを、思い出すことでしょう。

 少年たちを取り巻く大人たちが、とても良い味を出しています。
 特に、正義さんと禁煙さん。禁煙さんの次の言葉は印象的でした。

 「ただね、大切なことに思いをはせる時間をもった人間が、
 もっとふえればいいと思うだけだ。」(P160)

 解説によると、ケストナーは、「すなおな感情、はっきりした思考、
 かんたんな言葉」に、こだわったのだそうです。

 実際、とても分かりやすいです。だから、注釈がひとつもありません。
 ただ、私は「ディクテーション・ノート」(P43)の意味が分からなかった。
 人の名前かと思っていました。(ああ、恥ずかし)

 さて、訳者解説は、わずか7ページ足らずですが、秀逸です。
 ケストナーに対する愛を感じます。

 解説が短く、注釈は無し。値段は500円を切っています。
 実に理想的な文庫本です。本を作る人みんなに、見習ってほしいです。

 さいごに。(なぜ私だけうつらなかったのか)

 妻と娘が寝込んでいたので、洗濯・食事の用意・食器洗いなどをやりました。
 この間、インフルのふたりと顔を突き合わせていたのに、私だけ元気でした。 

 私の仕事場で、感染した人は、まだひとりもいません。
 多くの人と接する仕事をしているので、自然に免疫ができたのでしょうか。

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