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ある婦人の肖像

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 「ある婦人の肖像」 ヘンリー・ジェイムズ作 行方昭夫訳 (岩波文庫)


 (注意。今回の記事は、ネタバレが多めです。)

 若くて美しくて知的なアメリカ人女性が、ヨーロッパで人生を探求する物語です。
 ジェイムズの代表作です。ニコール・キッドマン主演で、映画化されました。

 岩波文庫で全3冊。現在は品切れ。私はヤフー・オークションで手に入れました。
 初版は1996年。行方(なめかた)訳は、分かりやすく、味わいもあります。

 帯に入っている写真は、ヒロインのイザベルを演じるニコール・キッドマン。
 1996年の映画「ある貴婦人の肖像」に合わせて、この本も出ました。

ある婦人の肖像 (上) (岩波文庫)

ある婦人の肖像 (上) (岩波文庫)

  • 作者: ヘンリー・ジェイムズ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/12/16
  • メディア: 文庫



ある婦人の肖像 (中) (岩波文庫)

ある婦人の肖像 (中) (岩波文庫)

  • 作者: ヘンリー・ジェイムズ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/12/16
  • メディア: 文庫



ある婦人の肖像 (下) (岩波文庫)

ある婦人の肖像 (下) (岩波文庫)

  • 作者: ヘンリー・ジェイムズ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/12/16
  • メディア: 文庫



 両親を亡くし財産の無いイザベルのもとへ、ある日、金持ちの伯母が訪れます。
 イザベルは伯母と一緒に、アメリカからロンドンへ渡り、運が開け始めます。

 イザベルは、タチェット家の人々から暖かく迎えられ、皆から愛されます。
 個性的な伯母、銀行家として成功した伯父、その息子で肺病のラルフたちに。

 そして、財産を持たないイザベルのもとに、次々と求婚者が現れます。
 イギリス貴族のウォーバトン卿。アメリカの大経営者グッドウッド氏など。

 しかし、イザベルには、自由に世界を飛び周りたいという気持ちがありました。
 そして巨額の遺産が手に入り、イザベルは世界に羽ばたく翼を得たのです。

 イザベルは、世界に飛び立ったとたんに・・・
 彼女が人生の伴侶に選んだ相手は・・・

 イザベルのような頭の良い人が、どうしてあんな男を?
 それはたぶん、彼女の相反する二つの思いのせいだと思います。

 自由に振る舞いたいという思いと、
 誰かに全て委ねたいという思いと。

 彼女にはもともと、アメリカ娘特有の、自由を求める気質がありました。
 だから、財産を持たない頃は、一生懸命に強がって、人の手に落ちなかった。

 しかし、思いがけず巨額の遺産が手に入ると、自分の全てを委ねたくなった。
 だから、あっさりと、つまらない男の手に落ちてしまった。

 周りの人々は、もちろん警告を発します。
 しかし、知的で自信家のイザベルには、彼らの言葉が耳に入りません。

 結局、故タチェット氏の心配が、現実になりました。
 恋を知らない若く美しい女性が、金持ちになるのは、かえって危険ですね。

 結婚後、ようやく自分の失敗に気づきますが、もうその時は遅い。
 でも、プライドのある彼女は、決して自分の失敗を打ち明けたりしません。

 さて、実は現在、私は下巻を読み始めたばかりです
 今のイザベルは、ちょっと痛々しいです。

 でも、このまま終わるはずはありません。(たぶん)
 いったいこのあと、彼女はどういう行動に出るのか。最後まで楽しみです。

 さいごに。(みんなが食べるから)

 「みんなが食べるから、私も食べてみた」と、娘が言うので、「何を?」と
 聞くと、「ハナクソ!」という答え。

 小学校では、特に男の子たちが食べているようです。
 そういえば、私も小学校のとき、食べていたような・・・


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