「ある婦人の肖像」 ヘンリー・ジェイムズ作 行方昭夫訳 (岩波文庫)
(注意。今回の記事は、ネタバレが多めです。)
若くて美しくて知的なアメリカ人女性が、ヨーロッパで人生を探求する物語です。
ジェイムズの代表作です。ニコール・キッドマン主演で、映画化されました。
岩波文庫で全3冊。現在は品切れ。私はヤフー・オークションで手に入れました。
初版は1996年。行方(なめかた)訳は、分かりやすく、味わいもあります。
帯に入っている写真は、ヒロインのイザベルを演じるニコール・キッドマン。
1996年の映画「ある貴婦人の肖像」に合わせて、この本も出ました。
両親を亡くし財産の無いイザベルのもとへ、ある日、金持ちの伯母が訪れます。
イザベルは伯母と一緒に、アメリカからロンドンへ渡り、運が開け始めます。
イザベルは、タチェット家の人々から暖かく迎えられ、皆から愛されます。
個性的な伯母、銀行家として成功した伯父、その息子で肺病のラルフたちに。
そして、財産を持たないイザベルのもとに、次々と求婚者が現れます。
イギリス貴族のウォーバトン卿。アメリカの大経営者グッドウッド氏など。
しかし、イザベルには、自由に世界を飛び周りたいという気持ちがありました。
そして巨額の遺産が手に入り、イザベルは世界に羽ばたく翼を得たのです。
イザベルは、世界に飛び立ったとたんに・・・
彼女が人生の伴侶に選んだ相手は・・・
イザベルのような頭の良い人が、どうしてあんな男を?
それはたぶん、彼女の相反する二つの思いのせいだと思います。
自由に振る舞いたいという思いと、
誰かに全て委ねたいという思いと。
彼女にはもともと、アメリカ娘特有の、自由を求める気質がありました。
だから、財産を持たない頃は、一生懸命に強がって、人の手に落ちなかった。
しかし、思いがけず巨額の遺産が手に入ると、自分の全てを委ねたくなった。
だから、あっさりと、つまらない男の手に落ちてしまった。
周りの人々は、もちろん警告を発します。
しかし、知的で自信家のイザベルには、彼らの言葉が耳に入りません。
結局、故タチェット氏の心配が、現実になりました。
恋を知らない若く美しい女性が、金持ちになるのは、かえって危険ですね。
結婚後、ようやく自分の失敗に気づきますが、もうその時は遅い。
でも、プライドのある彼女は、決して自分の失敗を打ち明けたりしません。
さて、実は現在、私は下巻を読み始めたばかりです
今のイザベルは、ちょっと痛々しいです。
でも、このまま終わるはずはありません。(たぶん)
いったいこのあと、彼女はどういう行動に出るのか。最後まで楽しみです。
さいごに。(みんなが食べるから)
「みんなが食べるから、私も食べてみた」と、娘が言うので、「何を?」と
聞くと、「ハナクソ!」という答え。
小学校では、特に男の子たちが食べているようです。
そういえば、私も小学校のとき、食べていたような・・・